抜け毛が増えて全体のボリュームが減った、分け目が広がってきたという悩みを抱えている場合、もしかしたらびまん性脱毛症かもしれません。
びまん性脱毛症は、割合的に男性よりも女性に多く発症する脱毛症で、進行スピードが緩やかなため初期症状に気付きにくいという特徴があります。
本記事では、びまん性脱毛症の原因と対策やセルフチェックのポイント、壮年性脱毛症やAGAとの違いを解説していきますので、びまん性脱毛症は治るのか?と不安な方は参考にしてください。
そもそもびまん性脱毛症とは?
びまん性脱毛症という言葉を初めて聞いた・見た方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはびまん性脱毛症とはそういった症状を指すのかを解説いたしましょう。
「びまん」とは、「一面に広がり満ちる・はびこる」という意味があり、びまん性脱毛症は頭頂部から前頭部の髪の毛が全体的に薄くなる症状を意味しています。
ほとんどの場合、進行の速度が非常に緩慢なため初期症状に気付きにくく、ボリュームが失われ頭皮が透けて見えて初めて異変に気付く方が多いです。
しかし、まれに急激に抜け毛が増えてしまう急速進行性びまん性脱毛症が起きるケースもあります。
びまん性脱毛症になる主な5つの原因と対策
びまん性脱毛症を発症する時には、何らかの原因があります。心身に大きなダメージを負うような原因であったり、何気ない日常に起こるちょっとしたことまでさまざまです。
まずは、どういったことでびまん性脱毛症を発症するのか、主な5つの原因と対策を解説していきます。
女性ホルモンが減少した
1つ目のびまん性脱毛症を発症する原因は、加齢や出産、ピルの服用・休止によって女性ホルモンの分泌が減少することです。
加齢の場合はゆっくりと、出産やピルの内服・休止によるものは急激に女性ホルモンの分泌量が変化するため、髪の毛の成長が妨げられ抜け毛が増えて発症します。
出産やピルの内服・休止によるびまん性脱毛症は、ある程度の期間が経過すると自然に元に戻ることがあります。しかし、更年期前後から閉経する頃にかけて女性ホルモンの分泌量が減った場合は専門家による治療が必要でしょう。
過度なストレスを受けている
びまん性脱毛症を発症する原因、2つ目は過度なストレスです。精神的なストレスの他に、外科手術や高熱・出産などによる身体的ストレス、音や臭いなど物理的なものや化学的なものまでさまざまです。
ストレスが蓄積されると、自律神経のバランスが乱れ交感神経が優位になり、血管の収縮が起きて血流が悪化します。また、脳の機能も低下してしまうため、ホルモンバランスの乱れにも繋がります。
髪の毛を育てるために必要な栄養を届ける血流、そしてホルモンバランスが乱れるという2つのびまん性脱毛を発症する要因を招くため、ストレスをためないよう注意しましょう。
生活習慣が乱れている
びまん性脱毛症を発症する原因の3つ目は、食事時間や睡眠が不規則であったり、過度なダイエットを行うなど生活習慣が乱れていることです。
喫煙や過度の飲酒も含み、このような生活習慣は女性ホルモンの分泌量を減らしてしまうため、髪の毛の成長を妨げてしまう一因となります。
髪の毛の栄養となるタンパク質やビタミン・ミネラルをバランスよく摂取し、十分に睡眠をとるよう心がけてダイエットは過度なものではなく運動をするなどしましょう。
頭皮への過度な負担がある
4つ目のびまん性脱毛症を発症する原因は、頭皮に過度な負担をかけていることです。頻繁にパーマやヘアカラーを行ったり、1日に2回以上シャンプーをする、力強く髪の毛を引っ張る髪型をしている場合は要注意です。
パーマやヘアカラーの薬剤が頭皮につくと炎症を起こしてしまったり、シャンプーをし過ぎると頭皮が乾燥してフケやかゆみが起こる、ギュッと強く髪の毛を結んでいると頭皮が緊張して固くなってしまいます。
パーマやヘアカラーは適切な期間を置いて行い、シャンプーは刺激の少ないものに変えて1日1回就寝前だけにする、髪を結ぶ時は緩くするかほどいている時間を長くするなどしましょう。
全身疾患や薬剤など
びまん性脱毛症を発症する原因、5つ目は全身性エリテマトーデスや膠原病など慢性的な全身疾患、また抗がん剤など薬剤によるものです。
甲状腺疾患や鉄欠乏性貧血、肝臓や腎臓の機能障害を患っている場合もびまん性脱毛症を発症するリスクが高く、半年以上の期間をかけて症状が進行します。
このケースでは原因になっている疾患を治療することが一番の対策となるため、まずは病気が治るよう治療に専念しましょう。
びまん性脱毛症の症状や特徴とセルフチェック方法
気になっている髪の毛の悩みがびまん性脱毛症なのか、それとも一時的だったり気のせいだったりするのか、確かめる方法はないのかと思っている方もいるでしょう。
ここからは、びまん性脱毛症の可能性が高い症状や特徴と皮膚科医でも行われるセルフチェックの方法をご紹介しますので、一度試してみてください。
びまん性脱毛症の可能性があるかを確認
まずは、以下の項目を確認していくつ当てはまるかを数えてみましょう。
- 以前より分け目が広く頭皮が目立つ
- つむじ周辺から前頭部の髪の毛が減った
- 髪の毛のハリやコシがなくなってきた
- 産毛のような細い髪の毛が増えた
- 抜け毛の量が増えてきた
- 髪の毛が伸びず短い髪の毛が増えた
- 全体的な髪のボリュームが減ってきた
さらに以下に記載する生活習慣を確認し、それぞれいくつ該当するかを覚えてください。
- 強いストレスを感じている
- 食事の栄養バランスが偏っている
- 睡眠時間が6~8時間より少ない
- 運動不足を自覚している
- パーマやヘアカラーを毎月行う
- ダイエットをしている
- 生理が不順
- タバコを吸う
頭皮や髪の毛に関するチェック項目に、一つでも当てはまった方はびまん性脱毛症の可能性があり、2項目以上該当する場合はびまん性脱毛症を発症している可能性があります。
生活習慣に関するチェック事項で2~3個当てはまった場合は、症状を進行させてしまうリスクを高めているため、より気をつけた方が良いでしょう。
びまん性脱毛症のセルフチェック方法
皮膚科でも行われる、髪の毛が抜けやすいかどうかをチェックする方法もご紹介いたしましょう。ただし、こちらのセルフチェック方法はあくまでも参考にして、正確な判断は医師・専門家にお任せしてください。
まず、頭頂部や側頭部など3ヵ所以上で約40~60本ほどの髪の毛を親指と人差し指・中指の3本でつまみ、軽い力で引っ張ります。
その時に抜けた髪の毛の数を数え、3本程度であれば正常、4~6本以上抜けた場合はびまん性脱毛症の可能性が高いです。
びまん性脱毛症のチェックと対策は専門家にお任せ
上記でご紹介した項目のチェックとセルフチェックは、専門家以外でも簡易的にびまん性脱毛症の可能性があるかを確認できる方法です。
実際にびまん性脱毛症だったとしても、その原因によって必要ではない対策を講じて効果が得られないケースもあるので、正しく原因を究明するためにも専門家に相談しましょう。
ただし、びまん性脱毛症を発症した原因に合わせた対策は一人ひとり違うため、適切なアドバイスを行える専門家を選ぶようにしてください。
びまん性脱毛症と壮年性脱毛症・AGAの違い
壮年性脱毛症はAGAの1種で、30代~50代の働き盛りに発症する脱毛症を指す言葉です。これより10~20代の場合は若年性、60代以上だと老人性脱毛症と言います。
最後に、びまん性脱毛症と壮年性脱毛症やAGAとの間には、どのような違いがあるのかを解説いたしましょう。
脱毛する箇所の違い
びまん性脱毛症と壮年性脱毛症(AGA)の違い、1つ目は脱毛する箇所が異なるということです。
びまん性脱毛症は髪の毛が細くなり、分け目が広がったり頭部全体のボリュームが減って頭皮が透けて見えるという特徴があります。
一方、壮年性脱毛症はAGAの特徴と同じおでこの生え際が後退する、または頭頂部(つむじ周辺)の髪の毛が減るなど、部分的に薄毛になることが特徴です。
原因の違い
2つ目のびまん性脱毛症と壮年性脱毛症(AGA)の違いは、薄毛になる原因です。
びまん性脱毛症はホルモンバランスの乱れや女性ホルモン分泌量の減少、栄養不足などさまざまな原因があります。
AGAである壮年性脱毛症の原因は、活性化した男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)が、毛乳頭細胞にある受容体と結合し脱毛因子を増やすことです。
性別の違い
3つ目のびまん性脱毛症と壮年性脱毛症(AGA)の違いは、性別によって発症する確率が異なることです。
びまん性脱毛症は女性に多く壮年性脱毛症(AGA)は男性に多いですが、男性がびまん性脱毛症を発症したり女性が壮年性脱毛症になることもあります。
これは、加齢によってホルモンバランスが乱れる、近年は生活習慣の乱れによってホルモンの分泌量が低下するなどが原因です。
びまん性脱毛症になる原因とは?セルフチェックの方法や壮年性脱毛症・AGAとの違いまとめ
今回は、びまん性脱毛症の原因と対策やセルフチェックの方法、壮年性脱毛症やAGAとの違いを解説しました。
びまん性脱毛症を発症すると治るのか不安になる方もいらっしゃいますが、原因がはっきりとしている急性の場合は短期間で治るケースがほとんどです。
半年以上の期間をかけ、緩やかに症状が進行する場合は壮年性脱毛症(AGA)のように対策が必要になるため、適切なアドバイスを受けるためにも専門家へ相談してください。