薄毛や抜け毛で悩む方であれば、育毛剤や発毛剤の使用して髪の毛を増やす方が多いと思いますが、生活習慣、特に食事の改善から始める方は少なくありません。
特に、「昆布(コンブ)など海藻類は昔から食べると、髪が黒くなるや、ハリ・ツヤが出る、薄毛が回復する」というイメージを持つ方は多いかと思います。
昆布にそれだけの育毛効果が期待できるのでしょうか?
今回は、髪にいいと言われる「昆布の育毛効果」について成分・摂取量などを徹底的に分析した結果を解説します。
そもそも「育毛効果・髪にいい」と期待される成分は?
髪の毛は血液から毛根が栄養分を吸い上げて、毛母細胞が刺激されることで発毛します。
髪の毛はケラチンと呼ばれるタンパク質が9割を占めています。そのため、このケラチンタンパク質がどのように合成されるのかを知ることで育毛効果がある栄養素が明らかとなります。
ケラチンタンパク質を合成するには、様々な栄養をバランス良く摂取する必要がありますが、今回は、代表的な3種類の栄養を紹介します。
タンパク質(アミノ酸)
上記でお伝えした通り、髪の毛の主成分はタンパク質です。タンパク質が体内で分解されるとアミノ酸となり、それが血液に運ばれて毛根まで届くことで、ケラチンタンパク質へ再合成されます。
食事でとれるタンパク質には、お肉などの「動物性たんぱく質」と大豆などの「植物性タンパク質」があります。大豆は髪の毛に良いと言われるように、積極的に植物性タンパク質を取るべきと思われがちですが、動物性タンパク質も必須です。
動物性タンパク質には、アミノ酸を組織に再合成するためのメチオニンが多く含まれています。そのため、動物性タンパク質+植物性タンパク質のバランスが大切となります。
だよ※)コラーゲンなど肌や髪に良いと言われますが、コラーゲンは食道で分解されてアミノ酸になって分解されるため、コラーゲンのサプリなどで摂取する必要はありません。美肌や髪のツヤを出したい場合は、コラーゲンよりプロテインなどを摂取する方が効率的です。
大豆「植物性タンパク質」の育毛効果についてまとめております。ぜひ参考にして下さい。
ビタミンA,C、E、F
ビタミン類は、頭皮環境の保持、血管の柔軟性を保つ上で必要不可欠な栄養素です。
血行をよくして抜け毛を防ぐビタミンE、Aを多く含む食品(にんじん、かぼちゃ、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜、玄米、胚芽米、小麦胚芽油、ごま、ナッツ類、紅花油など)
ビタミンCには様々な代謝機能があり、鎮静効果や代謝の促進、細胞の活性化など多岐にわたります。また頭皮のコラーゲン生成にも一役立つビタミンです。
ビタミンFが不足すると、頭皮の保湿機能が低下して頭皮の乾燥を引き起こしてしまい、フケや痒みそして皮膚炎の原因に繋がります。
ミネラル(特に亜鉛)
ミネラルは、新陳代謝が正常に行われなくなるため、に必要不可欠な栄養です。そのため、ミネラル不足となると、抜け毛が多くなるなど頭皮にも影響があります。
特に、髪の合成にとって重要なミネラルが亜鉛です。亜鉛が不足していると、いくらビタミンやタンパク質を摂取しても頭皮や髪を健康に保つことが出来ません。
亜鉛の重要性や、髪や頭皮に良い食事をまとめております。ご覧ください。
昆布に含まれる成分は?
昆布に含まれる主な成分は次の通りです。
- 【ヨウ素(ヨード)】
- 【カルシウム】
- 【アルギン酸】
- 【フコイダン】昆布のネバネバ成分
昆布は、下記の構成比率を見て分かる通り食物繊維が豊富です。そのため、腸内環境を整えて栄養分の吸収を助ける働きも期待されます。
引用:https://kombu.or.jp/power/eiyou.html
海藻の成分で育毛効果が期待できる?
結論からお伝えすると、海藻や昆布を食べることで髪の毛が増えるといった「科学的根拠はありません。」
それもそのはず。この根拠を立証するためには、非常に手間がかかります。昆布の髪の毛への作用を立証するために行うべきことを、想像した範囲で簡単にお伝えします。
数十人~数百人程度の被験者を用意
頭皮状態・性別を分けて母集団を作る
グループ1(まったく同じ生活習慣)、グループ2(まったく同じ生活習慣+昆布を与える※量を規定する)
数週間~数か月、同条件を維持
血液を採取して成長因子の分泌具合や発毛があるか定点観測、髪の成分分析
ざっと思いついたことを記載しましたが、これでも検証として不十分です。そのため、昆布の有効性を検証するためには、更に昆布1つ1つの成分を抽出して頭皮に塗布するのか・経口投与するのかも確認する必要があります。
そのため、科学的根拠がないのは当たり前です。
とはいえ先ほどお伝えした通り、昆布には豊富な栄養素が沢山含まれています。そのため、「昆布を食べることで髪の毛が増える」とまでは言うことは出来ませんが、「髪の毛のために食べても良い」といった食材です。
昆布の成分「フコイダン」の育毛効果が発揮するのは、「塗布した時のみ」
昆布自体を食べることで育毛効果があるといった科学的根拠はありませんが、昆布に含まれるネバネバ成分のフコイダンには育毛効果が期待されています。
フコイダンは食物繊維の一種であり、海藻類(めかぶ・わかめ・もずく)にも多く含まれる成分です。このフコイダンは生活習慣の予防効果として免疫力を高めることが知られていますが、髪を成長させる毛母細胞を活性化することも明らかとなっています。
この報告は「タカラバイオ株式会社」の長年の研究結果、「F-フコイダン」には、人の毛乳頭細胞を刺激して、毛母細胞を増殖させる働きがあることが明らかになっています。
と考えてしまいますよね…。
そのため、インターネットにはフコイダンが髪よいから食べる価値があると間違った情報が出回ってしまうのです…。あくまで育毛効果が立証されたのは。「F-フコイダンのみ」なのです。
そのため、F-フコイダンの含有量が少ない昆布を食べても育毛効果は期待できません。育毛効果があるフコイダンは、(ガゴメ昆布・ビバマタ)のみとなります。
引用:https://www.aderans.co.jp/corporate/rd/pdf/aderans-plus01.pdf
フコイダンの育毛効果は皮膚に塗ることでのみ発揮する
フコイダンによる育毛効果は、マウスの皮膚に塗布することによって検証されています。そのため、フコイダンを食べる・飲む事による検証はされていません。
フコイダンをマウスの皮膚に塗布することで、毛母細胞を活性化させるFGF-7の分泌量の増加が確認されています。
フコイダンにはがん予防効果も
フコイダンは、摂取した場合、腸内環境の免疫細胞を活性化させて、腫瘍の大きさを抑えるといった報告があります。そのため、昆布を食べるのは、髪のためというより、「健康の維持のため」と割り切った方が良いでしょう。
髪の毛のことを考えたら始めるべき行動をまとめてみました。ご覧ください。
昆布の1日の摂取量は?
昆布には、ミネラルや食物繊維など腸内環境を整える作用が期待できます。そのため、昆布によって腸内フローラを整えることで栄養の吸収率を高めることは期待できます。
腸内を整えることで、より多くの栄養分を頭皮に届けることは期待できますので、やってみる価値はあります。そんな方のために海藻類(昆布)の摂取量の目安をお伝えします。
- 昆布の1日の摂取量:3g程度
日本人の成人ヨード摂取量上限値:3mgから算出すると、意識的に食べてしまうと食べすぎとなる危険があります。
そのため意識的に取らなくても毎日味噌汁に少量の昆布や海藻類を入れる程度で十分昆布の栄養素の恩恵を受ける事が出来ます。
食べ過ぎは大丈夫?
女性の食べすぎは要注意です。
昆布などの海藻類には、ヨード(ヨウ素)が多く含まれています。このヨードの取り過ぎは、乳頭がんの発症率を1.7倍に高めるといった報告が出ています。
1990年と1993年に日本各地の40~69歳の女性5万人にアンケートを実施し、2007年まで追跡調査をしました。この間に134人が甲状腺がんになり、うち84パーセントにあたる113人が乳頭がんと診断されています。
調査対象の海藻の摂取状況を「週2日以下」「週3~4日」「ほとんど毎日」の3群に分けて解析したところ、海藻を食べる頻度が高いほど甲状腺がんになる確率が高く、乳頭がんに限定すると、ほぼ毎日食べるグループは、週2日以下のグループの約1.7倍という高確率でがんになっていることが分かったのです。
多目的コホート研究:https://epi.ncc.go.jp/jphc/
髪の毛によい食べ物って?薄毛を治すには?
髪の毛に良い食材はたくさんありますが、基本は食事の栄養バランスです。髪に良いといった食品だけを食べるだけでは髪の毛は生やすことは出来ません。
髪の毛を生やすために必要な栄養(タンパク質・ビタミン・ミネラル)の摂取するバランスが大切となります。頭皮や髪に良い食品を調べて食べることも良いですが、3大栄養素をベースに献立を考えてあげましょう。
当店では、このような食事指導から始まり、体の内側から髪の毛が生えるための環境づくりから行います。そのため薬による一過的な発毛ではなく、目指すは【薄毛治療後も継続できる髪の毛】です。
もし、興味がありましたら、ぜひ私までご相談下さい。