髪の毛は男性にとっても女性にとっても大切なものです。ヘアスタイルやヘアカラーなどで個性を出すことも出来ますし、おしゃれを楽しむ上では必須です。
しかし、世の中には、この髪の毛を無意識の内に自分自身で抜いてしまう症状:抜毛症(トリコチロマニア)の存在をご存知でしょうか?
やってはいけないことを自分では理解してはいるものの、つい抜いてしまう症状に苦しんでいる人は少なくありません。そこで今回は抜毛症についてより詳しく解説します。
抜毛症(トリコチロマニア)とは?
抜毛症(トリコチロマニア)とは名前の通り、自分で自分の髪の毛を引き抜いてしまう精神疾患のひとつです。日本の人口の1~2%程度の割合に見られる疾患であり、その9割近くが女性や子供に多いと言われています
大体10人1人ぐらいの割合という発症率のため、割と身近な存在でもあります。発症年齢は、幼少期や思春期など精神面の揺らぎが生じる時に起きやすいと言われていますが、近年では成人した男性でも悩まされる人は少なくありません。
あくまで、髪の毛や体毛事態に問題あるわけでなく、抜毛行為によって強引に抜いてしまうことが問題とされています。
抜毛症の症状とは?
抜毛症の症状として、多くが自分の体毛(髪の毛や眉毛、まつ毛)などを無意識の内に抜いてしまうことが挙げられます。
そのため、人によってどの部分が抜毛しやすいかなどはなく、抜いてしまう部位が不規則に薄毛の状態となります。
また、抜毛症には2パターンあります。
- 自覚型:衝動や思考を落ち着かせるために意図的に行う場合
- 無意識型:何かをしているときについ抜いてしまう場合
抜毛症の診断基準は?
抜毛症の診断基準は次の通りと言われています。これらに当てはまる場合は、抜毛症(トリコチロマニア)の可能性がございます。
- 毛を引き抜く行為が認められる
- 毛を引き抜くのをやめようと繰り返し試みている
- 本行動により著しい苦痛または障害を経験している
- 無意識のうちに髪の毛抜いてしまう
このように、抜いてしまう行為はいけないことと自覚はしているものの、辞める事が出来ず抜いてしまうのが特徴です。
本人は非常に苦しんでいます。子供の場合、両親に知られたくないということから、机の下などに隠すなど自分ではやっていけない行動と分かってはいるものの辞めることが出来ない状態をいいます。
自分で抜いてしまう抜毛症(トリコチロマニア)の原因とは?
では、何が原因でこの抜毛症で悩まされてしまうのでしょうか?実は、人によって原因は様々であり些細なことから初めてしまう人もいれば強いストレスから抜いてしまう人といます。
- 精神的なストレス
- 不安な気持ちや緊張を紛らわすため
- 子供の場合:無意識で抜いてしまうことも
以上のようなことがきっかけで、つい自分の髪の毛を抜いてしまう癖がついてしまうことがあります。
抜毛症になりやすい人の傾向とは?
冒頭でお伝えした通り、抜毛症の症状が発症する割合は、女性や子供で9割を占めます。
- 小学校低学年~中学生頃
- 男女差は特にない(ただし、成人の場合は女性の方が多い)
子供の抜毛症の原因にはこんなこと原因となります。
高校生までの義務教育までの期間というのは、子供が自分で自分の環境をコントロールをすることが出来ません。その不安やストレスがある環境から自分の精神を守るために「髪の毛を抜く」といったことを行うケースも。
「子どもの場合、小学生から高校生までは自分で環境をコントロールできないケースが多いのです。住む場所も選べないし、親の都合で引っ越しすることもある。学校のクラスも1年間変わらないから、友人関係が悪化しても、理不尽な目に遭っても、同じ環境で過ごさなければならない。大人になると転職や独立という選択肢が出てきますが、子どもはそうはいきません。コントロールレスの環境下で不安を抱えた子どもが“自分でコントロールできること”の一つとして抜毛があります。抜こうと思ったら抜けるということは、努力に対する報酬が必ずもらえる行為なのです」
https://www.asahi.com/edua/article/13453757
抜毛症(トリコチロマニア)への対処法とは?
抜毛症を治すための治療法は、大きく2つのアプローチ方法があります。
- 認知行動療法
- 投薬療法
認知行動療法について
認知行動療法とは、薬などを使用せず「髪の毛を抜いてしまう癖」に対して自分では気づきにく考え方や問題になっている行動を修正するように少しずつ認知させていくことを目的とした治療法です。
抜毛症に対する認知行動療法はまず、気づきの練習から始まります。
自分がつい髪の毛を抜いてしまうときに「どんな気持ちか」「どんなタイミングか」など共通点を探り、どんな時に抜毛癖が起きやすいかを確認していきます。
その後は、髪の毛を抜いてしまう行動に争う(拮抗行動)の練習へと移ります。拮抗行動で代表的なものは、髪の毛を抜いてしまう意識を別の行動へ変えることが大切です。
例)ペンをギュッと握る、手をギュッと握る、服を掴んでみる
上記の行動を少しずつ繰り返すことで、抜いてしまう行動を別の行動へとすり替える方法となります。
投薬療法について
この投薬療法と言っても、あくまで抜毛症に対する特効薬があるわけではありません。
抜毛症がある人の多くが、精神的に追い込まれる場合が多いため、他の精神疾患が併発している可能性があります。別の精神疾患に対するアプローチを行うことで、抜毛症自体も緩和させることを目指す療法となります。
ただし、どんな疾患があるか判断することは難しいです。一人で判断せず行わず必ず周囲のサポートや専門家に相談した上で向き合うことをお勧めします。
抜毛症を治療するには、心療内科へ相談することも大切
抜毛症と聞くと、薄毛治療の専門のクリニックに来店した方が良いと考える方も少なくありません。確かに薄毛専門に取り扱いをしているクリニックに行くことで髪の毛を生やすためのお薬を処方されるかも知れませんが、根本解決には繋がりません。
「自分で髪を抜いてしまうことを防ぐ」ことを行う必要があります。
前述した通り抜毛症の多くが精神的ストレスによって耐えきられなくなり、そのストレスから自分を守るために、髪を抜くといった自傷行為をしている状態です。そのため、心療内科などでまずは心に抱えるストレスを軽減することが先決となります。
特に抜毛症の人は人にはあまり話せず一人で抱え込んでしまっている人は少なくありません。一人で辛く悩まずに、他の人に頼ってみてはいかがでしょうか?
もちろん、並行して薄毛対策として髪の毛のアプローチをすることも可能です。