人の体は、口から摂取したものを、胃や腸で吸収して栄養に変えることで体は作られていると言われるように、体の一部である髪の毛も食べ物から作られているといっても過言ではありません。
そのため、普段の生活でどんな食事を摂取しているかによっても、髪の毛のツヤやハリそして抜け毛などに影響してきます。
髪の毛に良い食べ物を積極的に食べることで、より良いご飯を髪の毛に与えることが出来ますし、逆に、抜け毛の原因へと繋がりかねない食べ物もあります。
人の体には、悪いものを排出するための機能をたくさん持っているため、すぐに薄毛という症状としては現れにくいですが、「数か月…1年…2年…数年…数十年…」と食べていると、薄毛の原因物質が、次第に体に蓄積してしまいます。
本記事では、「髪の毛に良い食事と悪い食事について」具体的な栄養素を含めてお伝えします。
食事がなぜ育毛に関与するのか?
食事による育毛効果を説明するためには、食事が体内に吸収されていくメカニズムから確認しましょう。
食べ物は、口から入り食道を通り体内へと移動します。食べ物はその道中でにある分解メカニズム(歯で噛み砕き、臓器の消化液)の働きによって徐々に小さい分子へと分解されます。
- お肉やお魚(タンパク質)=アミノ酸
- ご飯や芋(炭水化物)=ブドウ糖
- 油物や脂身=脂肪酸とグリセリン
このように食べた物は形を変えて、小さく分解されることで初めて体内に吸収されます。
その後、肝臓へと蓄積され、体が必要なタイミングで血中へと溶け出し、体の細部まで血液を通して供給されます。
食事は髪の毛へどのように供給されるのか?
前述のような形で、栄養分を体内に取り込んだのち、栄養分は血液を通して各組織まで供給されます。その中でも髪の毛は、体の中でも末端部分です。
食べた栄養が血液に乗って運ばれ、髪の毛を作る毛母細胞まで酸素と栄養が届くことで初めて育毛することが出来ます。
日ごろから食事バランスを考えて、体に必要な栄養素を摂取することが出来れば、髪の毛を育てるための「必要な栄養素を初めて与える」ことが出来ます。
十分に栄養がある毛根は細胞分裂を繰り返し太く長く成長することが出来るのです。
対して日頃から食事のバランスが悪かったり、栄養不足状態が続くと、毛根まで十分に栄養分が届かず結果として毛母細胞は細胞分裂を行うことが出来ずに、抜け毛や薄毛の原因に繋がります。
薄毛になる食事と育毛効果がある髪に良い食事とは?
人にも好き嫌いがあるように、髪の毛を合成するために必要不可欠な食事(栄養素)と髪の毛への栄養を与えることを妨げる可能性がある食事があります。
私たちが美味しいものを食べたいのと同じく、髪の毛も美味しく栄養価が高い物を求めています。
本記事で普段の食事が髪に良い効果を与えているか確認していきましょう。
薄毛を進行させる危険がある食事(栄養素)とは?
薄毛を進行させる危険がある食べ物は実は日常にたくさんあります。
もちろん、たまに食べる分には体は毒素を排出する機能があるため問題はありませんが、日常的に好んで食べている場合は、薄毛のリスクを高まる恐れがあります。
- 糖分が多い食事をよく食べる
- お酒の飲み過ぎ
- ファーストフードなど脂っこいもの
糖分が多い食事をよく食べる
ついつい、疲れた時やストレスが溜まっている時に食べてしまう「甘いもの」。
この甘いものの取りすぎは、血糖値の上昇させ血流の悪化の原因につながり、毛根までの栄養を届ける妨げになりかねません。
もちろん、一定数の糖質(ブドウ糖)は生命活動をする上で必須です。
しかし、ブドウ糖が過剰にあるといくらインスリンを分解しても間に合わず、腎臓の機能が低下して血糖値が悪くなり高血糖の状態になってしまうのです。
特に糖分に関しては日常的に1日の摂取量を超えてしまっている人が多く、現代病として注意されています。
糖分の1日の摂取量
一日の糖分摂取量は、2015年に世界保健機関(WHO)からも発表されています。
その量は次の通りです。
世界保健機関(WHO)は、肥満や虫歯を予防するために、
砂糖などの糖類を一日に摂取するカロリーの5%未満に抑えるべきだとする新指針を発表した。
平均的な成人で25グラム(ティースプーン6杯分)程度。
この量を普段の食事に換算すると次のようになります。
≪砂糖の含有量≫
- コーラ500ml⇒55g
- レットブルなどの栄養ドリンク420ml⇒52g
- 缶コーヒー200ml⇒15g
このように、レットブルやコーラを1本飲む程度でも1日の糖分摂取量を過大に超えてしまっています。
そのため毎日ジュースを飲んでいる人などは、日常的に砂糖の取りすぎ状態となってしまいます。
この状態が長期的に続くことで、高血糖の状態となり血液の流れが悪くなり髪の毛に悪い影響があります。
お酒の飲み過ぎ
適量のお酒(アルコール)であれば、血管を拡張させる効果があり毛根に対して影響は少ないと考えられています。
しかし過度に飲みすぎてしまう状態は頭皮や髪によって悪い影響を及ぼす危険があります。
アルコールは体内に摂取されると、肝臓にて分解されます。
その際に、「アセトアルデヒド」と呼ばれる有害な物質が生成されます。
この「アセトアルデヒド」を無害な「酢酸」へと代謝するときに大量のアミノ酸とビタミンが消費されます。
アミノ酸やビタミンは髪の毛のタンパク質である「ケラチン」を合成する上で必須の材料であるため、お酒を飲みすぎてしまうと髪の毛の分の栄養が不足しやすい状況となります。
ファーストフード・コンビニ弁当などの脂っこいもの
ファーストフードやコンビニ弁当などの味の濃い食べ物や脂質の高いものを日常的に食べることは薄毛を進行させる危険がある行為となります。
過剰な脂質は、体の中での分解が間に合わなくなると皮脂腺を通じて体外へと排出されます。
頭皮には多くの皮脂腺が存在するため、日常的に高脂質な食事を摂取していると頭皮が皮脂でベタベタの状態になりやすくなるのです。
その結果、皮脂を餌とする雑菌が増殖して、頭皮トラブルの原因に繋がりかねません。
また、それだけでなく血中のコレステロール値が上昇するとその分血液の流れが悪くなるため、頭皮への血行が悪くなる傾向にあります。
- 頭皮の血行不良
- 皮脂の過剰分泌
髪の毛を生やすために良い食べ物
髪の毛は、約9割が「ケラチン」と呼ばれるタンパク質で構成されています。
そのため、髪の毛を成長させるためには、髪の毛の素である【タンパク質】が重要となります。
「ケラチンタンパク質を作るために必要な栄養」「頭皮の健康を維持するために必要な栄養」を元に紹介しています。
- その①:タンパク質
- その②:ビタミン
- その③:ミネラル
髪の毛に良い食べ物・悪い食べ物とは?抜け毛を予防に効果的な食べてほしい食品(栄養)を紹介
その①タンパク質(アミノ酸)
髪の毛が好きなご飯の一つ「タンパク質」です。
ただ単にお肉を食べて摂取するのでも良いのですが、髪の毛の事を考えたらより良質なタンパク質を供給することをお勧めします。
良質なタンパク質とは、アミノ酸スコアが高いタンパク質のことであり、タンパク質の栄養価を示す指標の1つとなります。
アミノ酸には次の2種類のアミノ酸が存在しており、必須のアミノ酸の量がどれぐらい1日の必要量を満たすことが出来ているかを100点満点で算出されています。
- 体で作ることが出来ない「必須アミノ酸」
- 体で合成することが出来る「非必須アミノ酸」
この、100点の食材を積極的に食べることで、育毛効果が高い栄養を髪の毛にも供給することが出来ます。
このアミノ酸スコア上位の中でもおススメなのが、大豆製品です。
大豆
大豆に含まれる大豆イソフラボンは、腸内で吸収されると、「エクオール」と呼ばれる物質へと変化します。
このエクオールが女性ホルモンの「エストロゲンホルモン」に似た働きを持つため、髪の毛の成長を促すだけでなく、抜け毛を予防してくれます。
女性の抜け毛の多くは、エストロゲンホルモンの分泌量が減少している可能性が高いのです。
男性にとっても髪の毛を育てる上でイソフラボンは欠かせない要素です。
また、それだけでなく、タンパク質も豊富であるため、日頃から接触的に豆腐や納豆、豆乳など積極的に取るようにしましょうね。
その②:ビタミン
ビタミンの役割は多岐にわたりますが、タンパク質の分解を手助けする効果もあります。
数あるビタミンの中でも欠かせないのが次の3つです。
- ビタミンA
- ビタミンB群
- ビタミンE
ビタミンAは、頭皮の健康状態を保つ上で必要不可欠な栄養です。
髪の毛は皮膚が角化した頭皮の一部でもあります。そのため、頭皮が健康になると比例して髪も健康に育つようになります。
ビタミンAを多く含む食べ物:
鶏・豚レバー、うなぎ、乳製品(牛乳、バター、チーズなど)、卵など
ビタミンB群には、脂質の代謝を促すものや、血行を促進するものさまざまです。抜け毛の予防や白髪などの「髪の質」にも効果があります。
髪を生やすのにおススメのビタミンは、ビタミンB2,B6、ビオチン、葉酸の4つとなります。
ビタミンEは、抗酸化作用が強いビタミンです。
そのため、体内で生成された活性酸素(体のサビ)を取り除くことができます。
活性酸素は老化と共に、どんどん生成されてしまう物質でもあり、抜け毛や白髪の原因になります。
そこで、ビタミンEを摂取することで、髪の毛の老化を防ぐことが出来るのです。
ビタミンEはアーモンドなどに豊富に含まれています。詳しくは、「食べ物の中でもアーモンドは髪に良い?」をご覧ください。
その③:ミネラル
髪の毛を作る時に、補助として活躍してくれるのがミネラルです。
中でも薄毛に効果があると言われるのが、「亜鉛」です。
この亜鉛は、吸収されたアミノ酸がケラチンに変わる時に必要な栄養です。
しかし、もともとミネラルは吸収率が悪い栄養素です。特に最近では亜鉛不足による抜け毛も多数報告されています。
亜鉛を効率的に吸収するにはコツがあり、「ビタミンC」や「クエン酸」と一緒に摂ることで効果的に吸収することが出来ます。
亜鉛の1日の摂取の推奨量は男性で【約10mg~上限45mg】女性で【約8mg~上限30mg】となります。
亜鉛は、牡蠣などに多く含まれる栄養素ですが、食事からだけで満たすことは難しいためサプリメントなどもおススメです。
また、AGAの原因である、5αリダクターゼを抑制する働きをもつため、男性の薄毛に効果的な栄養の一つと言えるでしょう。
動画でも特に食べて欲しい食材を解説しています。
【髪が生えた】報告がある食べ物とは?
実は、ある食べ物を食べ続けるだけで、薄毛が改善されたとテレビで話題になった食材があります。
実際にチャレンジしてみた人が多くいるみたいでインターネットで検索すると多く出てきます。
イワシ缶
イワシ缶を、朝毎日食べることを1~3か月程度続けることで薄毛が少しずつ改善されたといった報告が多数あります。
著者である私もイワシ缶生活を試してみた結果
実は、私も1か月ほどイワシ缶生活を試してみました。
結果としては、「中性脂肪値の低下・血流の改善・髪のハリが良くなった」3つを実際に感じることが出来ました。
※)毎日イワシ缶を食べるのは…大変な作業となります。
そのため、サプリメントなどでDHA・EPAなどのフィッシュオイルを取ることも一つの手かも知れません。
食事で髪を生やすためには腸内環境を整えよう
これまで、髪の毛を生やす上で欠かせない栄養素や食べ物をお伝えしてきました。
しかし、これらを食べるだけでは不十分です。「腸内環境」まで意識して対策する必要があります。
いくら髪に良いものを食べたとしても、腸内環境が悪いと体内に取り込まれないまま、便として排出されてしまいます。
近年、「腸内フローラ(腸内菌のバランスなど)」が着目され、良い腸内環境だと「ガン予防につながる」ことも研究報告として多く発表されています。
それだけ、腸内環境は重要なのです。
しっかりと腸内環境を整え、良い栄養を最大限取り入れることが出来る腸活をしてあげましょう。
腸内環境を整えるには?
腸内環境を整えるには、善玉菌を増やす必要があります。
次の3つを意識することから始めましょう、
- 食物繊維
- オリゴ糖
- 乳酸菌
<善玉菌を効率よく摂取する食べ物>
- 無糖ヨーグルトにグラノーラなどのシリアルを加え、そこに上からオリゴ糖を適量
- 納豆+キムチの組み合わせ
この食べ方で腸内環境を整えるための善玉菌を効率よく食べることができます。
ご自宅の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?
【結論】髪によい食事は継続が大切
いかがでしたか?
今の自分の食生活を振り返り、髪の毛にとって良い食事を行なっているか悪い食生活をしているか、改めて確認しましょう。
髪の毛を育てることは、日ごろの生活の蓄積です。
抜け毛や薄毛で不安や悩みがある方は、しっかりと髪の毛を育てるために日々の生活を振り返ってみて下さいね。