男性の薄毛予防・改善に効果があると言われてきた大豆イソフラボンですが、育毛効果があるというのは嘘だ・顔が変わるなどという噂が広がっています。
結論からいうと、デメリットとして髪が細くなる可能性も秘めているものの、大豆イソフラボンの育毛効果は論文で科学的根拠があると示されているのです。
本記事では、大豆イソフラボンに育毛効果があるのは嘘なのか、デメリットは髪が細くなる?大豆イソフラボンの効果を高める摂り方などを解説します。
大豆イソフラボンに育毛効果があるというのは嘘?
豆乳をはじめ納豆や豆腐など、大豆製品に多く含まれているイソフラボンは育毛に効果があると広まっている半面、育毛効果があるというのは嘘だという説も広がりを見せています。
実際にイソフラボンと育毛に関する論文を読み、大豆イソフラボンにあると言われる育毛効果は嘘なのかを調査した結果を、まずは解説していきましょう。
大豆イソフラボンはDHT抑制効果がある
2009年、奈良県立医科大学泌尿器科学教室が発表した論文によると、大豆イソフラボンのサプリメントを3か月間摂取したところ、遊離テストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)の濃度が低下しました。
DHTは男性型脱毛症(AGA)の原因になると考えられている物質のため、DHTの血中濃度が下がったということはAGAの症状やヘアサイクルの乱れを抑制すると考えられます。
この論文以外にも、イソフラボンによりDHT濃度が減少したという結果が複数の論文にあったので、イソフラボンは薄毛予防に効果的だと言えるでしょう。
大豆イソフラボンは正常な頭皮環境を維持する
イソフラボンはいくつかの成分が合わさった化合物で、中でもイソフラボンに含まれるオニノンという成分は抗酸化作用と抗炎症作用が優れています。
また、細胞の新陳代謝促進作用により肌のキメやハリを保つため、正常な頭皮環境の維持にも役立ちますし、頭皮の乾燥を防ぐ効果もあるのです。
さらに、アメリカのカリフォルニア大学アーバイン皮膚科による論文などではイソフラボンがもつ抗炎症作用により、髪の毛の健康と成長が促進されるとしています。
大豆イソフラボンは血流を改善する
薄毛に悩む方は血流が悪化していることが多いのですが、大豆イソフラボンには血小板が凝集するのを抑制し血流を改善する作用があります。
育毛には、髪の毛を作るための栄養を毛乳頭細胞や毛母細胞まで届ける必要があるため、血流が悪化していると正常に髪の毛を作ることはできません。
野田科学研究所とキッコーマン総合病院による論文によると、イソフラボンによる血流改善効果は2時間後にピークを迎え、およそ24時間かけて毛中濃度が減少していくので、毎日適量を摂取することをおすすめします。
大豆イソフラボンの育毛効果は嘘ではない
ここまで、大豆イソフラボンに育毛効果があるのは嘘だという説に対して、科学的根拠を論文でご紹介してきました。
しかし、育毛は偏った栄養素だけで効果を得られるものではなく、育毛するためには大豆イソフラボン以外にも髪の毛の元になるタンパク質、タンパク質の分解・再生成に必要なミネラル・ビタミンなどが必要です。
食事面から育毛を促進すること、さらに生活面でも必要なことがあります。また、ご自身に合った対策でなければ期待した効果は得られませんので、薄毛の専門家に適した対策のアドバイスを求めてみましょう。
大豆イソフラボンを摂り過ぎるとデメリットがある?
大豆イソフラボンには多くのメリットがある反面、デメリットも存在します。デメリットが現れる理由は、大豆イソフラボンの過剰摂取によると考えられています。
実際に、大豆イソフラボンを過剰摂取するとどのようなデメリットが現れるのか、3つご紹介していきますので参考にしてください。
大豆イソフラボンの過剰摂取によるデメリット①:髪が細くなる
ジョンソン・エンド・ジョンソンなど3社が関わった研究によると、豆乳や大豆製品の影響で髪の毛の成長速度遅延や毛包・毛幹のサイズ低下が起こるとしています。
しかし、この研究は元々皮膚の色素沈着についてのものであり、発毛速度や毛包・毛幹のサイズ低下に関しては可能性があると述べているに過ぎません。
大豆イソフラボンが多毛症の治療に効果があるかを調査したイタリアの国際教養大学財団の研究では、体毛に対してイソフラボンの含むクリームが有効だったとしているため、可能性としては捨てきれないでしょう。
大豆イソフラボンの過剰摂取によるデメリット②:男性の顔や体が女性化
アメリカの出版社が2009年に発行した雑誌に、牛乳の代わりに毎日約3リットルもの豆乳を飲み続けた男性の体が女性化したという記事が掲載されました。
また、中国でも40代の男性が毎日1日1リットル以上も豆乳を飲み、胸が大きくなってしまったというニュースが報道されたのですが、明らかにイソフラボンの過剰摂取が原因です。
豆乳を飲むと男性の顔つきが優しくなる・中性的になるなど言われていますが、こちらに関しては科学的な根拠はないものの肌がきれいになったというブログやSNSの投稿はたくさんあります。
大豆イソフラボンの過剰摂取によるデメリット③:生殖機能の低下
ポルトガルのコインブラ大学セントロ病院が学術誌内で発表した記事では、イソフラボンが男性の生殖能力に悪影響を及ぼすとありますが、どの程度の摂取量であれば影響があるかは示されていません。
またアメリカのミネソタ大学が学術誌で発表した臨床研究では、適切な摂取量では大豆イソフラボンを摂取した男性の性機能に影響がなかったとしています。
どちらの記事もはっきりとした根拠があるとは言い切れないとしているものの、推奨摂取量を守って摂取している分にはデメリットを感じることがないと言えるでしょう。
育毛効果を高める大豆イソフラボンの摂り方
ここまで大豆イソフラボンの育毛効果が嘘なのか、デメリットがあるかを解説してきましたが、推奨摂取量を守って過剰摂取をしなければデメリットを感じることはないと言えます。
ここからは、大豆イソフラボンの育毛効果を高める摂り方について解説していきますので、薄毛や抜け毛の改善または予防したい方は参考にしてください。
大豆イソフラボンの育毛効果を高める摂り方:推奨摂取量を守る
育毛効果を高める大豆イソフラボンの摂り方、1つめは推奨摂取量を守って大豆イソフラボンを摂取することです。
安全性を考慮した摂取上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして1日70~75mgと定められ、併用するサプリメントの摂取量は1日30mgとしています。
これは、普段の食生活で摂取するであろう大豆イソフラボンの摂取量を16~22mgに、サプリメントの30mgを足した量が上限値を超えないように設定されたものです。
食品安全委員会は、高濃度の大豆イソフラボンは胎児や乳幼児・小児の生殖機能に影響を及ぼすため、妊婦や妊娠の可能性がある方、乳幼児や小児は食事に上乗せすることを推奨できないとしています。
大豆イソフラボンの育毛効果を高める摂り方:摂るタイミングは食後
大豆イソフラボンは血中のコレステロールを下げ血液をサラサラにする作用があるため、食後に摂ると育毛効果を高められると考えられています。
また、腸内で吸収したイソフラボンを髪の毛を作る細胞に届け、育毛効果を発揮してもらうためには夜に摂取するのもおすすめです。
できれば寝る3~4時間前までにイソフラボンを摂り、毛母細胞や幹細胞が睡眠中にしっかりと働くような生活を送りましょう。
大豆イソフラボンの育毛効果を高める摂り方:摂取効率の良い豆乳を飲む
大豆イソフラボンは、大豆そのものや大豆を使った製品に多く含まれているのですが、以下の表を見ていただくと分かる通り含有量には幅があります。
大豆製品 | 1食分の量 | イソフラボン含有量 |
---|---|---|
納豆 | 1パック(約50g) | 約30mg |
豆乳(無調整) | 200ml | 約60~85mg |
豆乳(調製) | 200ml | 約40~80mg |
豆乳飲料 | 200ml | 約25~30mg |
豆腐 | 1/2丁(150g) | 約40mg |
厚揚げ | 1/2丁(100g) | 約35mg |
煮豆 | 30g | 約10~15mg |
手軽に大豆イソフラボンを摂取したいという方であれば、納豆や豆乳がおすすめです。豆乳は無調整がおすすめですが、クセや味が苦手という方は調整豆乳でも良いでしょう。
ただし、調整豆乳には塩分・糖分や添加剤などが含まれており、カロリーも高くなっているので飲み過ぎに注意してください。
大豆イソフラボンの育毛に効果がある説は嘘?デメリットで髪が細くなるかを解説まとめ
本記事では、大豆イソフラボンに育毛効果があるというのは嘘なのか、また髪が細くなるなどのデメリットや育毛効果を高める摂取方法を解説しました。
結論として、大豆イソフラボンの育毛効果に嘘はありませんが、過剰摂取によるデメリットは下痢などの体調不良だけでなく、髪が細くなる・女性化などする可能性があります。
育毛には大豆イソフラボンだけでなく、ビタミンやミネラル・タンパク質をはじめ炭水化物や食物繊維などをバランスよく摂取することが必要です。
栄養以外にも運動や睡眠など、日常生活の過ごし方や頭皮環境の改善といったさまざまな面からの働きかけをし、育毛効果を高めましょう。