ひどい生理痛や生理不順、避妊などといった女性ならではの悩みを軽減するために、ピルを服用している人やこれからピルの服用を考えているという人は少なくありません。
ところが、ピルを服用中に抜け毛が増えた・副作用で薄毛になるといった噂もあり、女性の命とも言われる髪の毛に悪影響を及ぼしてしまうほど、実はピルと薄毛には深い関係性があります。
そこで今回は、ピルと薄毛の関係性やなぜ抜け毛が増えると言われているのか、またピル服用中の抜け毛はいつまで続くのかなどについて詳しく解説します。
そもそもピルとは?【女性ホルモンに作用】
ピルとは主に女性ホルモンのバランスを調整して、女性の避妊や生理の悩みを軽減させる目的で活用されているお薬のことで、日本では経口避妊薬とも呼ばれますが避妊以外の目的で服用される事が多いお薬です。
ピルに含まれるプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)という2つの女性ホルモンが脳下垂体に作用し、排卵を抑制することで避妊や生理不順に効果を発揮します。
ピルを服用してはいけない人もいる
避妊や生理の悩み・ニキビなどを改善する目的で服用するピルですが、全ての女性が服用できるというものではなく、疾患を持っている方や嗜好品の摂取などでピルを服用できない方もいらっしゃいます。
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- 1日15~20本以上の喫煙者
- 重度の肥満
- 前兆がある片頭痛を起こすことがある方
- 40歳以上で初めてピルを服用するという方
- 妊娠中・または授乳開始後6か月未満の方
- 子宮体ガン・血栓症・乳がんなどの既往歴がある方など
上記のような方の場合、副作用の血栓症(心筋梗塞・脳梗塞など)や女性ホルモンのバランスが乱れることによる疾病にかかりやすくなるなど、様々な病気へのリスクが高くなってしまうので、ピルを服用したい方であっても処方することが出来ません。
詳しくはお近くのピルを処方してくれる病院にてご相談いただき、定期的に検査を受けながらピルを服用するようにしてください。
ピルの種類【中用量ピル・低用量ピル・ミニピルの3種類】
一言でピルと言っても、実はピルには色々な種類があって症状や用途によって使い分けられており、現在主に処方されるのは中用量ピル・低用量ピル・ミニピルの3種類で、過去主流だった高用量ピルは副作用のリスクが高いため今では処方されることがなくなりました。
また女性ホルモンの配合量別や、1ヵ月分の中での配合量を変えるなどでも種類がありますので、ピルを処方してもらう際にはどのパターンが自分に合うのかをよく相談する必要があります。
ピルの種類①:卵胞ホルモンの含有量による分類
現在主に処方されるピルはいずれもプロゲステロン(黄体ホルモン)を含んでおり、エストロゲン(卵胞ホルモン)の配合量をそれぞれ異ならせることで高用量・中用量・低用量・超低用量と分類されています。
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- 高用量:卵胞ホルモンの量が0.05㎎以上
- 中用量:卵胞ホルモンの量が0.05㎎
- 低用量:卵胞ホルモンの量が0.05㎎以下
- 超低用量:卵胞ホルモンの量が0.03㎎以下
- ミニピル:卵胞ホルモンを含まない
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また、高用量ピルは副作用が多かったことから現在処方されていないため、以降の解説では省略させていただく事をご理解ください。
ピルの種類②:黄体ホルモンの種類別分類
ピルに含まれる卵胞ホルモンはエチニルエストラジオール1種類なのですが、黄体ホルモンは開発された順に種類も変わり世代ごとに分けられています。
- ノルエチステロン(第1世代ピル):ルナベル・フリウェル・シンフェーズ・ノリディ
- レボノルゲストレル(第2世代ピル):トリキュラー・ジェミーナ・アンジュ・ラベルフィーユ・ノルゲストン
- デソゲストレル(第3世代ピル):マーベロン・ファボワール・セラゼッタ
- ドロスピレノン(第4世代ピル):ヤーズ・ヤーズフレックス
基本的に低用量ピル・超低用量ピルが主になっており、世代の新旧にかかわらず改善したい症状に合わせた世代や相性を選ぶ必要がある事が特徴です。
ピルの種類③:相性
現在処方されるピルのほとんどが低用量または超低用量で、1シート内でのホルモンの用量が変わらないものを1相性(そうせい)、2段階に分かれるものを2相性・3段階に分かれるものが3相性と呼ばれ、最も自然なホルモンバランスの分泌に近いのが3相性のピルです。
- 1相性:卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が1シートの中で変わらない
- マーベロン・セラゼッタ・ファボワール・ヤーズ・ヤーズフレックス
- 2相性(日本での取扱いは無い):卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が1シートの中で2種類ある
- エリオット2
- 3相性:卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合量が1シートの中で3種類あり最も自然
- シンフェーズ・トリキュラー・アンジュ・ラベルフィーユ
2相性のピルは日本では取扱いが無いため1相性・3相性が主に処方されており、3相性はホルモン量によって錠剤を色を変えて飲む順番を間違えないようにされています。
世代や用量・相性などによって、生理がスタートした時から服用するのか、飲み忘れを防止する為の偽薬を含むのかなども変わりますので、ご自身に合ったピルを服用する為にも処方してもらう病院でしっかりと相談してください。
ピルの種類④:アフターピル
アフターピルは望まない妊娠の可能性がある性交をした後、24~72時間以内に服用する事で避妊効果を現すお薬です。
出来るだけ早く飲む事が重要な緊急避妊薬で、一時的に女性ホルモンのバランスを変化させることで排卵や受精・着床を防いで妊娠する可能性を下げてくれます。
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- ノルレボ:国内初承認された黄体ホルモンのみを含むアフターピル
- エラワン:国内では緊急避妊薬としての承認が無いため主流ではないが、海外では主流になっている
- ヤッペ法:現在はほとんど行わないが、中用量ピルを2錠服用後さらに12時間後に2錠服用する緊急避妊方法
アフターピルを服用したからと言っても緊急避妊効果は99~97%のため、確実に避妊できるというものではありませんし、何度も繰り返して服用してしまうと身体や心のバランスを崩してしまう可能性もありますので、出来るだけ使う必要が無いように心がけましょう。
ピルの使用用途【抜け毛が減る場合も】
ピルには避妊の他に、生理に関する不調の改善や女性ならではの疾患の治療・予防にニキビの改善など、女性ホルモンが関係する様々なことの改善や治療に使用されるお薬です。
避妊や改善したい目的に合わせて選ぶピルが変わりますので、診察時には医師に相談する事が必要となりますが、ある程度の目安としてピルの種類に合わせた使用用途を解説いたしましょう。
中用量ピルの使用用途
中用量ピルには、緊急性を伴う避妊や生理にまつわる重度の症状の改善が出来るという使用用途があります。
- 緊急避妊効果
- 月経周期の移動
- 月経不順
- 月経困難症
- 月経過多の改善
- 子宮内膜症の改善
緊急避妊(アフターピル)や生理日の移動として使用する場合はほとんどが自費診療となりますが、月経困難症や月経過多・子宮内膜症の治療として使用する場合は保険が適用されるでしょう。
低用量~超低用量ピルの使用用途
低用量~超低用量ピルは通常の避妊目的での服用、生理にまつわる症状・肌荒れやニキビの改善を目的として服用する事が多いお薬です。
- 避妊効果
- PMS(月経前症候群)
- ニキビ
- 月経痛
- 月経不順
- 月経過多
- 子宮内膜症の改善
避妊はもちろん、生理不順や月経過多・PMSの改善にも、現在は副作用を抑えた低用量~超低用量ピルの処方がメインとなります。
21日・28日と2つのタイプがあり、28日タイプでは女性ホルモンが入っていない偽薬が7日分含まれ、毎日服用するためのみ忘れやすい方に向いているもので、21日タイプは偽薬を含まず7日間の休薬期間は何も服用しません。
ミニピルの使用用途
低用量ピルが体質的に合わない方が、避妊や子宮内膜症の改善を目的として服用できるのがミニピルです。
- 避妊効果
- 子宮内膜症の改善
卵胞ホルモンを含まず、黄体ホルモンのみが配合されている事が特徴で、肥満傾向にある方や子宮体ガン・卵巣ガンのリスクが高い35歳以上・喫煙者などにも処方することが出来ます。
ピル服用中に抜け毛が増えるのは本当?
ピルにはいくつかの副作用があり、その中の一つが薄毛という人もいますが、ピルを服用することで女性の薄毛が進行するという明確な因果関係はありません。
では、なぜピルの服用中に抜け毛が増えると言われているのでしょうか?その点について詳しく解説していきましょう。
ピルを服用している期間は髪の毛が増える
ピルの効果とは、女性ホルモンであるエストロゲンホルモンを増やすもので髪の毛の成長を促す作用があり、むしろピルの服用中は抜け毛の本数が減ると言えます。
というのも、ピルの服用期間は妊娠中と同じようなホルモンバランスになり、本来ヘアサイクルの中でも抜け毛になる期間の髪の毛が抜けにくくなるからです。
また、髪の毛のツヤやハリが出て髪の毛が綺麗になるという効果もあります。
ピルの副作用で抜け毛が増えると言われる理由
ピルの副作用で抜け毛が増えると言われる理由のひとつに、ピルの服用を辞めた時に薬によって補われていたエストロゲンホルモンが急激に減ってしまうことが挙げられます。
これはピルの服用によって増えていたエストロゲンが、服用をやめることによって本来の状態の分泌量へと減少してしまうため、抜けにくくなっていた髪の毛が一気に抜ける時期を迎えてしまうからです。
また服用するピルの種類によっては、男性ホルモン様作用が強いものがあるため皮脂分泌やニキビ・体毛が増えることがあります。
ほとんどの場合は数か月程度で徐々に抜け毛の本数が収まってくるのでご安心頂けますが、いつまでも抜け毛が治まらず薄毛が進行してしまうような場合は、別の疾患によるものだと考えられるため内科や皮膚科などの医療機関を受診するようにしてください。
ピルの服用期間中に薄毛が進行するケースはある?
稀にではありますが、ピルの服用中に薄毛になってしまう方もいます。これは特に第二世代のピルの服用期間に起こる可能性があるもので、髪の毛に関与する作用があるアンドロゲンというホルモンが活性化してしまうことで抜け毛が増える場合があるのです。
この他の理由としてはピルを服用し始めてから日が浅いときに抜け毛が増えるというもので、これは抜け毛が起きる2~3か月前のストレス状態やホルモンバランスの乱れが影響しているため、ピルを服用し始めたタイミングによっては一時的に抜け毛が増えてしまうケースもあります。
元々体毛が濃く男性ホルモンの活性度が高い方は、第二世代のピルを服用すると薄毛や体毛がより濃くなって悩みが増えてしまう可能性があるため、第3世代や第4世代の低用量ピルを服用する事が良いでしょう。
また、ピルの服用期間に一時的でも抜け毛が増えると「いつまで続くのだろう」と不安になってしまうことも多いのですが、その不安がストレスになって抜け毛が続いてしまう場合もあるので、気にし過ぎないようにすることが大切です。
ピルで抜け毛が長期間ひどい場合の対処方は?
結論から申し上げますと、ピルを服用することで長期間抜け毛がひどく続くと言ったことはほぼありません。
そのため、ピル服用中に抜け毛が増え続けている場合は、何らかの別の原因が考えられるでしょう。
ピルにもさまざまな種類がありますが、元々は服用することで一時的に女性ホルモンの量を増加させる役割があります。自分の体に合うもので正しく服用すればむしろ髪の毛にとって良い効果があるとも言えます。
ただし、例外として元の頭皮環境が悪かったり、食生活に問題があれば髪の毛に栄養が行き届かず抜け毛が治まりにくいといった場合もあります。
ですから、ピルを服用中に長期間抜け毛がひどい場合は、ピルを服用しながら過度なダイエットや食事制限などは控えたり、十分な睡眠時間を確保する、清潔な頭皮を保てるようにすることなどが大切です。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用
様々な効果のあるピルですが、お薬ゆえに副作用もあり、低用量ピルでおこる副作用には下記のようなものがあります。
ただし、この副作用が起きるのは服用直後から2~3ヶ月程度までになります。
更に長期間続く場合は他に何らかの原因があるか、お薬が体に合ってない可能性があるので、一度病院で相談する必要があると言えます。
- 吐き気
- 眠気
- イライラ感
- むくみ
- 乳房の張り
- 頭痛
- 下腹部痛
- 不正出血
- 血栓症
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用①「吐き気」
ピルの抜け毛以外の副作用として「吐き気」の症状が生じる割合は全体の5%以上であり、比較的起こりやすい副作用です。
低用量ピルに配合されている卵胞ホルモンが吐き気の原因になると考えられており、多くの場合は低用量ピルの服用を3ヶ月ほど続けることで吐き気は弱まってくるとされています。特に飲み始め当初に副作用が生じるケースが一般的と言えます。
吐き気の副作用の対処法!
対処法の一つとして、副作用で吐き気が生じた場合低用量ピルと吐き気止めを併せて服用する方法が推奨されています。
目安として、服用から2時間以内に嘔吐があった場合には低用量ピルを1錠分追加で服用することが推奨されていますが、心配な場合は一度ピルを処方してもらったクリニックの医師やかかりつけ医に相談してみて下さい。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用②「眠気」
ピルの抜け毛以外の副作用として、ピルに含まれている黄体ホルモンの影響で「眠気」を感じる方も居ますが、割合は少ないです。
ピルはホルモンバランスを調整する薬の為、服用後に体内のホルモンバランスが不安定になることで基礎体温の調整が適切に行えなくなることから眠気が生じます。
他にも、ホルモンバランスが不安定になることから自律神経に乱れが生じて寝つきが悪くなることもあります。
眠気の副作用の対処法!
症状は大体1~3ヶ月程度で収ると言われていますがどうしても症状が重い場合は生活習慣で十分な睡眠を取る事とは別に、20分程度の仮眠をすることで症状が和らぐとされていますので試してみてくださいね。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用③「イライラ感」
ピルの抜け毛以外の副作用として、吐き気や眠気と同じくホルモンバランスの影響により「イライラ感」が生じやすい方もやや多くいらっしゃいます。
こちらも服用後は1~3ヶ月ほど続く方も多いですが、しばらく服用していると収まることが殆どですのであまりにも続く場合はピルを処方してもらったクリニックの医師やかかりつけ医等に相談してみて下さいね。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用④「むくみ」
ピルの抜け毛以外の副作用として「むくみ」を感じる方もいらっしゃいます。
これは、ピルに含まれている黄体ホルモンが水分をため込む作用があることから、むくみやすかったり他にも体重増加などの副作用に繋がったりもします。
多くの場合は3ヶ月程度副作用を続けることで改善が見られますがそれ以上長期的に続く場合は必ずはピルを処方してもらったクリニックの医師やかかりつけ医等に相談してみることをおすすめします。
確認しよう!
足のむくみの症状と合わせて強い頭痛や腹痛などの症状がある場合には、血栓症の初期症状であることも考えられるため、処方を受けた医師に早い段階で相談するようにしてください。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用⑤「乳房の張り」
ピルの抜け毛以外の副作用として他にも「乳房の張り、痛み」があり、症状として現れる割合は約0.1%から5%未満と言われています。
ピルに含まれている黄体ホルモンが痛みの原因と言われており、これも3カ月程度で収まるのが一般的と言われています。
服用を続けても張り・痛みが引かない場合はむくみと同じくピルの種類が合ってないことが考えられますので、ピルを処方してもらったクリニックの医師やかかりつけ医等に相談してみて下さい。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用⑥「頭痛」
ピルの抜け毛以外の副作用の中で、こちらもホルモンバランスの影響により「頭痛」が起こる可能性もあります。
割合としては約0.1%から5%未満と言われていますが、症状を感じやすい副作用の1つです。低用量ピルの服用を続けることで徐々に収まるパターンが多いですが、あまりにも続く場合は対処が必要です。
頭痛の副作用の対処法!
生活習慣の中である程度の睡眠時間をしっかりと確保することや、肩こりを緩和する対策を行うことで頭痛が緩和される場合があります。
それでも頭痛の副作用が治まらない場合は、医師もしくは薬剤師に相談して頭痛薬の使用を検討するのも良いとされていますが、「アセトアミノフェン」が含まれている鎮痛剤は、低用量ピルと併用すると鎮痛剤の効用が低下し、逆に低用量ピルの効用が増強する可能性があります。
自己判断で服用するのではなく、一度医師に必ず相談することをおすすめします。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用⑦「下腹部痛」
ピルの抜け毛以外の副作用として「下腹部痛」が起こる場合がありますがこちらもホルモンバランスの影響によるものです。服用を続けても治らない場合や、生活に支障が出るほどの痛みを伴う場合は別の原因が考えられますので、ピルを処方してもらった医師やかかりつけの婦人科などに相談するようにしてください。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用⑧「不正出血」
ピルの抜け毛以外の副作用として、服用し始めた時期には約3割程度の方が「不正出血」を経験すると言われています。
服用し始めた時期に現れやすい副作用のひとつで、一般的には3ヶ月ほど継続的に服用することで副作用は治まっていきますが不正出血はピルを飲み忘れた際に起きる場合もあるので、服用開始からの期間、状況に応じて判断することが必要です。
3ヶ月ほど正しく服用を続けても不正出血の副作用が治まらない場合は、処方を受けたクリニックなどに相談しましょう。
ピルの飲み忘れや飲み遅れが不正出血の原因になっているパターンもあるので、適切な対応を行うには正しい用法、用量で服用する必要があります。
ピルの服用で起こる抜け毛以外の副作用⑨「血栓症」
ピルの抜け毛以外の副作用の中でも危険なものもあります。それは「血栓症」です。
血栓症とは、血管内に血の塊が詰まってしまい、血の流れを止めてしまう病気のことです。 この詰まった血の塊を血栓と言い、血栓ができる場所によってさまざまな病気を引き起こしてしまいます。
ですが、低用量ピルの服用によって血栓症を発症する確率は、年間1万人に3~9人とされています。 服用していない人の血栓症を発症するリスクは年間1万人に1~5人といわれていますから、ピルを服用することで「血栓症」のリスクが高まっているということは間違いないようです。
血栓症による足の痛みの特徴としては、ふくらはぎのうずくような痛み、むくみ、握ると痛みを感じたり赤くなったりすることなどが挙げられますので 万が一、そのような症状が現れた場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。
女性の薄毛の原因は?【抜け毛が増えたら脱毛症かも?】
ピルの服用で薄毛になってしまうこと以外にも、最近は薄毛で悩む女性が増えているのですが、実際に女性の薄毛の原因にはどのようなことがあるのでしょうか?
基本的に髪の毛の成長を促し成長期間を維持させることに関与している女性ホルモン、またストレスやヘアスタイル・疾患・生活習慣など、様々な事が女性の薄毛や抜け毛の原因になるということを解説していきます。
女性の薄毛の原因①:びまん性脱毛症(FPHL)
女性の薄毛で一番多いと言われているのがびまん性脱毛症で、頭部全体の髪の毛がまばらに抜けて前頭部~頭頂部にかけて頭皮が透けて見えるようになり、女性ホルモンの分泌が低下することから来ています。
びまん性脱毛症が進行する原因として、加齢により女性ホルモンが低下して男性ホルモンが優位になりホルモンバランスが乱れるというものがあり、男性のように決まった箇所のみが薄毛になることがないというのが特徴です。
女性の薄毛はホルモンバランスに大きく左右されるところがあるため、女性ホルモンのバランスを整えるピルと髪の毛は密接に関係しております。
女性の薄毛の原因②:円形脱毛症・疾患
女性の薄毛や抜け毛が増える原因には、自己免疫細胞の暴走から起こる円形脱毛症や内分泌系異常による甲状腺疾患、また感染症や皮膚炎などが原因となることがあります。
このほかにも疾病によって服用している抗がん剤・抗不安薬・降圧剤などでも薬剤性脱毛症が起こることがありますが、薬剤性の場合は服用を止めて成分が体内から無くなっていくと髪の毛が増える(元に戻る)ことも多いので、いつまでも抜け毛が多くなるということはありません。
また、円形脱毛症は女性や子供に多いという説があり、さらに女性は月経によって体内で重要な働きをする鉄を失い続けて不足しがちになり、酸素不足やセロトニンが不足してストレスに弱くなるということも円形脱毛症を発症しやすくなる原因だとされています。
女性の薄毛の原因③:ダイエット
自己満足や憧れるファッションをしたい・異性受けなど様々な理由でダイエットをされる方もいるのですが、そのダイエットが過度なものになってしまうと髪の毛に必要な栄養が不足してしまい、ホルモンバランスや自律神経の乱れ・血流悪化などを起こして薄毛や抜け毛が増えることがあります。
好き嫌いが多い場合やファストフード・インスタント・外食やコンビニの食事が多い方も同様で、過度な栄養不足は薄毛や抜け毛だけでなく生命の危機に陥ることもあるので避けなければなりません。
極端な食事量の節制や同じ食材のみを食べる・脂質や糖質を省くなどを行っていると、美しくなるために始めたダイエットのはずなのに薄毛や白髪になる、髪の毛や肌がボロボロになるなどしてしまいます。
女性の薄毛の原因④:牽引性脱毛症
学校や職場の規定で、同じ場所で髪の毛をきつく縛るようなヘアスタイルばかりしていると、髪の毛が長期間引っ張られ続けてしまうことによって牽引性脱毛症になることがあります。
特に髪の毛が長い方に起こりやすく、ポニーテールやお団子ヘア・夜会巻きなどから、髪の毛が短くヘアエクステを付けている方も注意が必要です。
この他には毎日ヘアアイロンを使っているという方や長年分け目を変えていないという場合も、同じ箇所に引っ張る力が加わってしまうために頭皮に負荷がかかって血行不良になることで、髪の毛の成長を妨げて細く弱い抜けやすい髪の毛になってしまいます。
女性の薄毛の原因⑤:女性男性型脱毛症(FAGA)
男性型脱毛症(AGA)は男性のみ起こるものではないということはご存知でしょうか?
FAGAは女性のF(Female)のAGAで女性に起こる脱毛・薄毛のことを示します。
実は女性でも、加齢や出産時の女性ホルモンのバランスの乱れにより薄毛が進行するといった症状になる場合があります。女性の3人に1人が悩むといわれており、思春期以降、特に40~50代から閉経以後に多くみられる脱毛症です。
症状としては細い髪が増え全体のボリュームが少なくなるのが特徴です。
主な初期症状としては、分け目が広がったように感じたり、抜け毛の増加がみられます。
また、症状が進んでいくにつれ、びまん性脱毛症のように髪が全体的に薄くなったように感じることが多いようです。
さらに進行すると、頭頂部から脱毛していく範囲が徐々に全体に広がっていきます。
ピル服用中でも薄毛治療はできる?
結論から申し上げますと、ピルを服用しながら薄毛治療をすることは出来ます。
ただし、ピルは本来ホルモンバランスに影響を与えるお薬ですので、飲む種類によっては注意が必要になってきます。自分の体に合うものをかかりつけ医やピルを処方してもらった婦人科の医師に相談してから飲むようにすることが大切です。
薄毛治療に良いピルはどれ?
ひとくくりに「ピルを服用中でも薄毛治療はできる」と言っても、ピルにも4つの種類がありますので、しっかりと確認してから始めるようにすることが大切です。
中でもおすすめできるのは第3世代、第4世代といった低用量ピルです。
第3世代の低用量ピル:マーベロン28、ファボワール28
第4世代の低用量ピル:ヤーズ、ヤーズフレックス
など
これらはアンドロゲン作用が弱かったり、抗アンドロゲン作用であるため薄毛治療をしながらでも飲むことができると言われています。
薄毛の進行とピルの効果の因果関係は明らかとなっていませんが、第2のピル(アンジュ28、ラベルフィーユ28、トリキュラー28)を飲むのはあまりお勧めできません。
なぜなら、第2世代の低用量ピルは薄毛を進行させる原因の一つであるアンドロゲン(男性ホルモンの総称)作用が強いため、薄毛を進行させる可能性があるからです。
ピルとスピロノラクトンは同時に服用すると危険?
女性の薄毛の症状の種類との中でも女性男性型脱毛症(FAGA)のように、女性でも体内の男性ホルモンが優位になってしまうと体毛が濃くなったり、ニキビができやすいといった症状があります。
そこで女性ホルモンを増やす低用量ピルを服用することで多毛の悩みが改善されたりニキビが出来にくくなるといった効果があるのも事実です。
しかし、第二世代のピルは女性用の脱毛症治療薬である「スピロノラクトン」と相性が悪く、不正出血や生理不順を起こす可能性があります。
薄毛治療で使われるスピロノラクトンは本来利尿剤であり、服用することで薬の成分が「アルドステロン受容体」と結合し体内の排泄を促す効果が生じます。
【アルドステロン受容体とは?】
アルドステロン受容体とは、別名を鉱質コルチコイド受容体といい、腎臓や心血管系などに存在しており、主に体内の排出に対して役割を担っているホルモンの1つで、私たちの体には欠かせないものです。
ホルモンとの結合により活性化し、アルドステロンは副腎で産生されるため体液量の増減少と反応によっては病気を引き起こす可能性もあります。
しかしスピロノラクトンの成分は「アルドステロン受容体」だけでなく、構造が似ている「アンドロゲン(男性ホルモン)」や「プロゲステロン(女性ホルモン)」とも結合してしまいます。
第二世代のピルの効果が十分に発揮されない可能性があることから、ホルモンバランスに影響を及ぼし月経不順や不正出血に繋がってしまう可能性があるのです。
ピルとミノキシジルは一緒に服用しても大丈夫?
女性用薄毛治療薬として使われているスピロノラクトンは相性が悪いピルがありますが、
ミノキシジルは、ピルの種類に関わらず併用が可能です。
ミノキシジルの主な効果として挙げられるのは、血管拡張作用による血行促進や毛母細胞の活性化によって発毛を促す作用です。ホルモンに直接的に影響を与えるお薬ではないため、ピルとの併用に大きな問題はないと言えるでしょう。
抜け毛や薄毛が気になる時はピルを服用してはいけない?
すでに薄毛や抜け毛が気になっているという方で、月経困難症やPMS・避妊などを目的としてピルの服用を開始したいという場合、薄毛治療とピルの相性が気になることもあるでしょう。
基本的には薄毛治療中にピルの服用をしてはいけないということは無いのですが、服用するピルの種類によっては相性が良くない場合があるので、出来れば服用を避けた方が良いピルがあるということは事実です。
抜け毛が気になる人が飲まないほうがいいピル
薄毛治療をされている方や薄毛が気になる方が飲まないほうが良いピルは、副作用が少なく人気の高い第2世代のピルです。
なぜ第2世代のピルを薄毛治療中に服用しない方が良いのかというと、アンドロゲン作用といって男性化(全身の多毛や皮脂分泌・ニキビが増えるなど)する作用が強いという特徴があり、薄毛につながることがあるため、抜け毛や薄毛が気になる方にはおすすめ出来ません。
また、女性の薄毛治療の中でも代表的なお薬であるスピロノラクトンとの相性が悪く、生理不順や排卵の抑制など起こすことがあるため、併用する場合には注意が必要となります。
第1世代や第3・4世代より男性ホルモン活性が高くニキビや多毛症などの懸念あるのが第2世代です。
とはいえ、きちんと月経がくるようになるので生理不順や月経困難症・生理周期の調整に効果があります。
抜け毛が気になる人が飲んでも問題のないピル
抜け毛や薄毛の悩みがある方でも服用しても問題がないとされるのが第3世代・第4世代のピルで、第3世代は男性ホルモン様作用の活性度が低く第4世代には抗アンドロゲン作用がある事が特徴です。
エストロゲンの量を高める効果がある第3世代・第4世代のピルを服用すると、男性ホルモンが優位になることが原因で引き起されている薄毛や抜け毛が改善される可能性があります。
それぞれピルには服用する方との相性があり、一概にこのピルが良いとは言えないので服用する際にはしっかりと医師に相談するようにしてください。
- 第3世代のピル(マーベロン・ファボワールなど)
男性ホルモン作用が弱い。ニキビや多毛症にも効果的。 - 第4世代のピル(ヤーズ、ヤーズフレックスなど)
男性ホルモン作用を抑制。副作用である血栓症のリスクが低く、PMS(月経前症候群)に効果的。
ピルの服用中止後の薄毛対策はどうすればよい?抜け毛を減らす方法2選
ピルの服用を中止したい場合、服用中止後に起こりやすい抜け毛の本数を少しでも減らすためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか?
副作用ではないとはいえ、やはりピルを中止して抜け毛が増えるとなれば女性にとっても悩みが増えてしまうため、そう簡単に服用をやめることは難しいと考えてしまいます。
結論から申し上げると、女性ホルモンを増やす働きがある食べ物を積極的に取ること、そして頭皮の血流を上げてより多くの栄養素を毛根に与えてあげることで、抜け毛を減らし離脱症状を軽減する事が可能です。
ピル服用中止後の抜け毛を減らす方法:①食事療法
ピルの服用中止によって減少してしまった女性ホルモンを補うためには食事で補充する事が可能で、特に大豆に含まれるイソフラボン(大豆イソフラボン)が腸内でエクオールという成分に変化することで女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをしてくれます。
また大豆には良質な植物性タンパク質やビタミン・ミネラルが豊富で、髪の毛を作るためにも積極的に摂取することがおすすめと言え、薄毛や抜け毛だけでなく更年期障害による不調にも効果的です。
大豆イソフラボンからエクオールへと変換できる方は日本人の約半数とされていますが、大豆を積極的に継続して摂ることでエクオールを作ることが出来る体にすると、ピルの中止によるエストロゲンホルモンの急激な低下による抜け毛を緩和することができます。
抜け毛を減らす方法:②運動療法
ピルの服用を中止する事と直接関係はありませんが、毛根へより栄養を与えやすくして髪の毛が育ちやすい状態にするために有効なのが血流・血行を促進する運動療法です。
頭皮の血管は毛細血管と呼ばれ非常に細い血管となり、運動不足や喫煙の習慣などですぐに血流が滞ってしまいがちですが、日ごろから運動をすることで筋肉を付けると筋肉が第2の心臓として血行促進に役立ってくれます。
また、それ以外にも有酸素運動を行うことで血中に溶け込む酸素濃度が上昇し、より多くの栄養素を毛根へ届けることができるため、抜け毛を減らして育毛・発毛を促すことが出来るのです。
薄毛や抜け毛に悩んでいる女性は、積極的にランニングやウォーキング・水泳などの有酸素運動を生活に取り入れ、運動が苦手な方はストレッチだけでも毎日行うことで、リンパや血液詰まりを軽減していくようにしましょう。
ピルで抜け毛が増えるのはいつまでの期間?【ひどい場合の対処法は?】まとめ
本記事ではピルに抜け毛や薄毛の副作用はあるのか?種類や使用用途、服用中に薄毛になる可能性や期間がいつまでなのかなどについて解説いたしました。
ピルは女性のライフイベントの問題を解決することが出来るお薬で、抜け毛や薄毛になるという副作用は無く、反対に髪の毛を強くしなやかにしてくれる作用があるものです。
服用するピルの種類によっては男性的な発育を促進するアンドロゲン作用が強かったり、副作用に似たものとして服用を止めると抜け毛が多くなるといったデメリットもありますが、ほとんどの方がピルの服用を止めて数か月程度で徐々に戻ってくるものの、中には髪の毛が戻りにくい人もいらっしゃいます。
いつまでも抜け毛が減らずに薄毛になってしまっている場合は、ピルの服用以外の原因の疾患などが考えられるため、クリニックなど専門機関に相談することをおすすめいたします。
当店にも女性特有のホルモンバランスの乱れにより来店される方が数多くいらっしゃいますし、薄毛や抜け毛の悩みがある方は一人で抱え込まず、専門家に相談して早期に対策をしていきましょう。