大豆は薄毛・抜け毛へ効果的？髪を意識した大豆の摂取法とは？

「大豆は薄毛に効果がある」「大豆イソフラボンが髪の毛の成長を助ける」こんな話を一度は耳にした事があるでしょう。

確かに大豆製品は薄毛に効果的ですが、何も知らずにただ単にイソフラボンを摂るだけでは大豆の薄毛予防効果を十分に発揮できていないことがあります。

今回はスーパーフードである大豆に着目して、薄毛に効果がある理由や一日の推奨摂取量、さらに＋αの情報である大豆の育毛効果を高める腸内環境の重要性などについて詳しく解説いたします。

大豆に薄毛改善効果があるのは嘘？本当？

日本では昔から大豆を良く摂取している国で、味噌や醤油・納豆・豆腐・豆乳、おつまみの定番である枝豆も未成熟の大豆ですし、その他にも油揚げや高野豆腐・湯葉・がんもどき・おから・きなこなど枚挙に暇がありません。

元々大豆自体が畑の肉と言われるほど栄養豊富な食材で、良質なタンパク質や炭水化物・脂質にビタミンやミネラル類が詰まっていますが、生のままでは固く消化しにくい成分が入っているため、様々な製品に加工され食べられているのです。

また、加工する事によって様々な栄養素が加わることもあり、大豆の薄毛改善効果はその製品によっても変わることがあります。

大豆の薄毛改善効果：大豆イソフラボン

大豆製品全般に含まれる薄毛改善効果が高い栄養素が大豆イソフラボンで、特に含有率が多いのは発芽大豆・きな粉・揚げ大豆・高野豆腐・納豆ですが、豆乳や味噌・油揚げなどにもしっかりと含まれています。

大豆イソフラボンの中でも麹菌で発酵したものは、DHEAという女性ホルモンや男性ホルモンの元になるホルモンを増やす作用が高く、大豆の中でも胚芽部分に多く含まれている成分でアンチエイジング効果が高いです。

また、体毛が濃くなるのを抑制する働きを期待して大豆イソフラボンを配合したローションやジェル・クリームなどの商品が販売されていますが、これは大豆イソフラボンの女性ホルモンに似た作用があることから来ています。

大豆の薄毛改善効果：ポリ-γ-グルタミン酸

大豆製品の中でも、納豆のネバネバに含まれているポリ-γ-グルタミン酸は5αリダクターゼの働きを抑制する効果から薄毛改善効果があると言われ、さらに保湿性が高いことから頭皮環境を適切にする働きを持っています。

ポリ-γ-グルタミン酸自体は抗がん剤や手術の際に癒着防止剤としても使用されているもので、カルシウムの吸収を高めるとも言われ特定保健用食品(トクホ)に利用されている成分です。

基本的に食品から生成される安全性が高いもので、肌の老化を防いだりアトピー性皮膚炎の抑制や免疫強化などの作用があると考えられ研究が進められています。

大豆の薄毛改善効果：必須アミノ酸

大豆をはじめとする大豆製品には、体内で生成できず食品から摂取しなければならない必須アミノ酸が豊富に含まれています。

9種類ある必須アミノ酸の中でも大豆にはリジン・トリプトファン・フェニルアラニン、豆腐にはシスチンの合成に必須のメチオニン・納豆には免疫力向上やホルモン・酵素の生成に必要なリジンがさらに含まれ、不足しがちなアミノ酸を補給するためにぴったりなのが大豆製品です。

髪の毛の成分であるケラチンは18種類のアミノ酸で構成され、中でもシステインが全体の18％を占めるのですがシステインはメチオニンから合成されることもあり、大豆製品は薄毛改善にとって最もおすすめ出来る食品と言えます。

大豆の薄毛改善効果：大豆タンパク質

大豆は非常に良質な植物性タンパク質を含んでおり、ソイプロテインとして販売されるほどタンパク質(アミノ酸)配合量が高い食品で必須アミノ酸のバランスが良く、日本食品分析センターが発表しているアミノ酸スコアでも満点をたたき出している程です。

ケラチンの元になるアミノ酸が結合したタンパク質は薄毛対策する上で欠かせない栄養素の一つで、タンパク質からケラチンを生成する際に必要な亜鉛も大豆には豊富に含まれているので、大豆は薄毛改善・予防に優れていると言えます。

大豆イソフラボンは薄毛対策に欠かせない成分

巷の噂にもあるように大豆イソフラボンは、男性だけでなく女性の薄毛対策にも欠かせない成分です。

大豆イソフラボン、中でも大豆イソフラボンアグリコンがなぜ薄毛対策に欠かせないのか、育毛に対する効果を解説いたしましょう。

まずはAGA・薄毛のメカニズムを解説

大豆イソフラボンにどのような育毛効果があるかを解説する前に、男性の薄毛の中でも代表的なAGAが生じるメカニズムを以下に解説いたします。

AGAを代表とする薄毛になる原因に対し、大豆イソフラボンがどう作用していくのかを理解していただく為にも必要ですので、まずはご覧ください。

簡単にまとめますと、悪玉男性ホルモン(DHT)の影響によってヘアサイクルが乱れて髪の毛が細く抜けやすくなってしまうことが、抜け毛や薄毛の原因になるということです。

また女性の薄毛の場合は女性ホルモンのバランスが乱れる・分泌が低下してしまうということから起こることが多く、その他には過度なダイエットやヘアスタイルによる牽引性脱毛症などがあります。

薄毛の原因について詳しく知りたい方のために図解付きで解説した記事もあるので、こちらも併せてご覧ください。

大豆イソフラボンの育毛効果1：薄毛の原因を抑制する

大豆イソフラボンの育毛効果のメインとなる理由として、男性の薄毛(AGA)を進行させる原因となる5αリダクターゼという還元酵素の働きを抑制する働きがあります。

5αリダクターゼの働きが鈍くして薄毛の原因とも言われてしまうジヒドロテストステロン(DHT)の産生を減らせば、毛乳頭細胞でアンドロゲン受容体と結合する事も少なくなり、ヘアサイクルの乱れが起こる確率も減らせるということです。

また、それに伴って大豆自体が持つ皮脂の分泌を抑制する作用によって頭皮環境が整い、頭皮まで必要な栄養が届くようになり髪の毛の成長期が延びるため、薄毛対策として効果的なのだと言えます。

大豆イソフラボンの育毛効果2：女性ホルモンと似た働きをする

大豆イソフラボンの育毛効果、2つ目に理由として挙げられるのは女性ホルモンの代わりとして働くことが出来るということです。

女性ホルモンの1つであるエストロゲンと、大豆イソフラボンアグリコンの分子構造がとても似ていることから、女性の更年期障害による辛い諸症状を緩和させたり、女性の薄毛であるびまん性脱毛症にも効果があると考えられています。

さらにエストロゲンや大豆イソフラボンには新陳代謝の促進をする効果もあり、頭皮環境を改善・維持してくれるため健康で美しい髪の毛を作るのに欠かせない成分なのです。

ただし、男性の場合は摂り過ぎると女性ホルモンの働きが強くなり、胸が膨らんできたなど女体化する恐れがあるので注意が必要な場合もあります。(副作用としての報告はされていませんが、一部事例としてあるそうです。)

大豆イソフラボンアグリコンとは？

大豆イソフラボンには腸内で分解される前のグリコシドという糖が結合したままの状態と、糖が外れたアグリコンという2つの形があります。

グリコシド型のままだと分子構造が大きく体内に吸収する事が難しいため、糖を外して分子を小さくしたアグリコン型へと変化させることが必要なのですが、さらにアグリコン型は3つの種類に分けられるのです。

大豆イソフラボンアグリコンは更に3種類に分けられる

育毛効果や薄毛対策として人気の大豆ですが、腸内で大豆イソフラボンアグリコンとなった後に更にダイゼイン・ゲニステイン・グリシテインという物質に分けられます。

この中で薄毛改善・育毛に効果がある物質エクオールに変換されるのはダイゼインのみですので、出来るだけダイゼインが多く含まれる大豆製品を摂ることが薄毛対策に効果的です。

どのような大豆製品を摂ればダイゼインが多いのかというと、乾燥大豆・きな粉・納豆・赤味噌が高く、木綿豆腐・がんもどき・醤油・おからは低い傾向にあります。(参考：北海道立衛生研究所北海道産大豆及び大豆加工食品中のイソフラボン含有量について)

薄毛改善効果を高くするエクオールとは？

健康で美しい髪の毛を維持する働きがある性ホルモンのエストロゲン、それに酷似した分子構造を持っているのが大豆イソフラボンのダイゼインから代謝されるエクオールです。

ダイゼインも分子構造がよく似ていますが、よりエストロゲンに近く女性ホルモンの分泌が低下してきた女性の薄毛や、5αリダクターゼの活性を抑制して男性のAGAを進行させないようにすることに効果を発揮します。

この他にも女性の更年期における様々な症状を緩和したり、頭皮を含む皮膚の新陳代謝促進・自律神経のバランスを整えるなど、育毛に関すること以外にも色々な面で私達の身体を守り維持してくれるのです。

大豆の薄毛改善効果は嘘だという方が多い理由を解説

大豆には美容だけでなく、髪の毛を成長させる上で必要な栄養素が豊富に含まれているのですが、実は約半分もの人が大豆イソフラボンで薄毛・抜け毛予防を出来ていません。

ただ単に大豆を食べれば髪に良い・育毛効果があると考える方がいる中で「ちゃんと豆乳飲んでいるのに効果を感じられない。」「毎日納豆や豆腐を食べているけれど本当に髪の毛に良いの？」という方がいるのには訳があるのです。

大豆が薄毛・抜け毛に効果があるのは日本人の約半数だけ

結論からお伝えすると、大豆イソフラボンを薄毛対策効果のあるエクオールへと変換出来る日本人の割合は約30～50%です。

大豆イソフラボンはダイゼイン・ゲニステイン・グリシテインという3種類のフラボノイドという物質からなり、その中でもダイゼインというイソフラボンが腸内細菌によって分解・代謝されるとエクオールという植物性エストロゲンへと変化します。

このエクオールへと作り変えるためには、腸内にエクオールを作ることが出来る菌を活発に活動させられるかどうかが大切なのです。

大豆イソフラボンをエクオールに変換するには？

大豆イソフラボンをエクオールに変換できない人は、どれだけ薄毛対策として大豆製品を摂取したとしても大豆イソフラボン(ダイゼイン)のまま吸収されてしまい、効果を得ることが出来ません。

また、エクオールへと変換できる腸内細菌も持っている方でも働きが活発でなかったり、エクオールの材料となる大豆製品を取り入れていなければ作り出すことが出来ないのです。

さらに若い世代では幼少期から大豆製品を摂取する機会が少ないためか、エクオールを作ることが出来る人の割合が少なくなっているということが分かっているので、腸内細菌のエクオール生産菌を増やす事が必要となります。

エクオール生産菌を増やして活発にさせるために必要なこと

エクオール生産菌を増やし活発にさせるためには、毎日大豆を食べることと腸内環境を整えるという2つの事が必要となります。

毎日大豆を食べる人とあまり食べない人ではエクオールを作れる割合が異なり、毎日大豆を食べる人で約50％・大豆製品をあまり食べない人だと20～25％ほどしかありません。

そして腸内環境を整え善玉菌の割合を増やす事でもエクオール生産菌の増殖が期待できるため、日頃の食生活を見直してビフィズス菌や食物繊維・大豆製品を積極的に摂取するようにしましょう。

エクオール生産菌が少ない・活発でない場合は？

毎日のように大豆製品を摂取しているものの、効果が出ているのか分からない・薄毛が改善されないという方は、エクオール産生菌が腸内に少ない・または活動していない場合があります。

エクオール産生菌が少ない方の特徴としては便秘気味あるいは排便過多、ファストフードを食べる回数が多い方や喫煙・飲酒の習慣がある方ということなので、思い当たる事が多い方は腸内環境を整えることから始めてみましょう。

また、エクオールを含有したサプリメントを取り入れてみることもおすすめです。

薄毛改善に効果的な大豆の1日の摂取量は？

そもそも、大豆製品を一日どれだけ摂取すれば薄毛改善に効果があるのでしょうか？

厚生労働省が推進している「21世紀における国民健康づくり運動」によると、1日に推奨される豆類の摂取量は100gなのですが、食品安全委員会では大豆イソフラボンとしての1日の摂取目安量70～75mgとしています。(参考：食品安全委員会大豆及び大豆イソフラボンに関するQ＆A)

大豆製品の量ではなく大豆イソフラボンの量に注目して食品に換算してみると、1日あたりの摂取することが推奨される大豆製品の量は以下の通りです。

このほかに普段の食事に醤油や味噌などの調味料を加えると、大豆イソフラボンの1日の摂取目安量を超えてしまう場合もあるので、ある程度加減をして大豆製品を摂取することが必要となります。

薄毛の専門家が紹介する簡単かつ効率的な摂取法

手っ取り早く1食で1日に必要となる大豆イソフラボンを摂取したいという場合で、さらに薄毛対策への効果も上げたい場合は「豆腐＋納豆＋キムチ」を組み合わせてみましょう。

大豆を使った豆腐はもちろん、発酵食品の納豆には大豆イソフラボンの他にもナットウキナーゼやポリ-γ-グルタミン酸が含まれ、腸内環境を整える作用も高くイソフラボンの吸収率を高めてくれます。

更にキムチに含まれるトウガラシのカプサイシンと大豆には、相互作用で成長ホルモンIGF-1の分泌を促すという研究結果もあり、髪の毛を成長させる作用を持つIGF-1は髪の毛を増やしたい人は欠かせない成長ホルモンです。

冷奴に納豆とキムチを乗せたり麻婆豆腐にキムチと納豆を加える、鍋物やグラタン風にするなどアレンジも豊富ですので試してみてください。

大豆製品は毎日摂取しないと排出されてしまう

最後に一つ、大豆製品・大豆イソフラボンを薄毛対策として取り入れたい場合の注意するポイントとして、出来るだけ毎日摂取するようにしてください。

これは体内で吸収されても利用されなかった分は、1～2日経過すると尿から排出されてしまうことに起因しており、体の中に貯蔵されるものではないからです。

ですので、週に1度多量に大豆製品を摂るのではなく、毎日少量づつでも継続して食べる事がおすすめですので、食事の際には豆腐や納豆・味噌・煮豆などを取り入れるようにしましょう。

大豆イソフラボンは摂り過ぎると危ない？

2006年に厚生労働省が発表した「大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取り扱いに関する指針」の中で、1日の摂取目安量の上限を70～75mgにするという一文が注目されたことがありました。

ところが、大豆製品を製造する企業や医学的見地からしても懐疑的で、また国民も大豆は食べ過ぎてはいけないのか？と疑問に思う声が多数上がったのです。

実際に大豆イソフラボンは摂り過ぎてはいけないのか、また大豆イソフラボンを多量に摂取する事で起こる副作用などについて解説いたします。

大豆イソフラボンは長期的に摂り過ぎないようにする方が良い？

日常的に大豆を摂取していない諸外国において1日の摂取量に制限が出ていること、イタリアの臨床試験で150mgのイソフラボンを含んだ錠剤を5年間摂取した閉経後の女性に子宮内膜増殖症の発症率が高まったことなどを根拠に、厚生労働省及び食品安全委員会等が国内での1日の摂取目安量を決定しています。

ところが、元々日本人は日常的に大豆製品を摂取する事が多く、さらに遺伝的にも腸内細菌にエクオール産生菌を持っている方が多いため、この目安量が多少オーバーしたとしても直ぐに何らかの悪影響が及ぶ健康被害が現れるとは考えられません。

また、近年は食生活が欧米化して大豆イソフラボンの摂取量が年々減少している事からも、適量となる50～80mg程度を継続して摂って頂きながらバランスの良い食事を心がけ、運動や睡眠といった生活習慣も整えていくようにしましょう。

大豆イソフラボンに副作用はある？

大豆イソフラボンは天然成分であるため、基本的に副作用と言われるようなものはありません。

とはいえ、食べ過ぎてしまう・元々の体質などによっては副作用なのではないかと感じてしまうものがあるので、大豆食品を多量に摂取した場合に起こる症状について解説していきましょう。

大豆食品を多量に摂取すると：下痢になることがある

早く薄毛を改善したいからと大豆イソフラボンを摂取する為に多量に食べてしまった場合、体質によっては便が柔らかくなって下痢をしてしまうことがあります。

大豆には不溶性食物繊維が豊富に含まれている事から起こると推測される症状で、腸の中で水分を沢山吸収してふくらみ大腸を刺激してしまうために下痢をしてしまうのです。

また便秘の方でもその種類によっては下痢になってしまうことがあります。

大豆食品を多量に摂取すると：体重が増加する恐れもある

大豆は低カロリーでヘルシーな食材だと思われがちですが、大豆そのものや加工した製品などは意外とカロリーが高いものが多く、食べ過ぎてしまうと太る原因になってしまいます。

さらにタンパク質や脂質などの摂取量も増加してしまいますし、加工されている煮豆やがんもどき・油揚げなどは糖質が高くなるので、食べる量に気を付けることが重要です。

緑黄色野菜や魚・肉などバランスよく色々な食材を食べるようにし、大豆製品ばかりを食べることが無いように気を付けましょう。

薄毛改善に大豆イソフラボンが効果的なのは嘘？育毛効果が本当にあるのかを徹底解説まとめ

本記事では大豆イソフラボンが薄毛改善に効果的なのは本当なのか、育毛効果があるというのは嘘？ということについて徹底解説いたしました。

大豆製品を沢山食べたからと言って育毛効果があるわけではありませんでしたが、腸内のエクオール産生菌を増やす事で薄毛改善効果を発揮することが出来るということが分かって頂けたかと思います。

大豆イソフラボンの摂取は、あくまでも薄毛予防やAGA治療・薄毛対策に＋αとして行うべき行動であり、しかも簡単に取り組むことが出来る内容ですので、ぜひ実践してみて下さい。

すでに、抜け毛がひどく気になっている人は、一度専門家に無料相談することも一つの手です。

抜け毛や薄毛の不安は一人で抱え込まず、適切な薄毛対策を行い早期に解決することをおすすめしますので、是非気軽にいつでもご連絡ください。