「最近お風呂の排水溝にたまる抜け毛が増えた気がする」「床に落ちる抜け毛の量がひどい」
近年は、女性でも多くの方がひどい抜け毛に悩んでストレスを感じています。今や、抜け毛や薄毛は男性だけでなく、女性にも増えている悩みです。
今回は、女性のひどい抜け毛の原因や対策、病院に行くなら何科で治るのかを解説します。
10代や20代の女性から、更年期に差し掛かる40代、更年期が終わってからなど、ひどい抜け毛に悩まされている女性は、ぜひ参考にして下さい。
抜け毛の仕組み
髪の毛には1本1本にヘアサイクルがあり、女性は一生で4~6年の1サイクルを15~20回ほど繰り返します。
ヘアサイクルは成長期(約4~6年)、退行期(約3週間)、休止期(約3~5ヶ月)の3つで構成されています。成長しきった髪の毛は退行期に毛根が収縮し、新しく生まれた髪の毛の成長に伴い押し上げられ、休止期に抜け落ちます。
日本人は平均して約10万本の髪の毛が生えており、1日の抜け毛本数が50~100本程度なら正常の範囲内です。
正常な抜け毛
1日に50~100本程度の抜け毛は正常だと申しましたが、季節によっては1日に150本以上の抜け毛が発生することもあります。
数日で治まるものは季節性の抜け毛なので、過剰な心配は必要ありません。
ご自身の抜け毛が正常なものかは、抜け毛の髪質や毛根を確認してください。生えている髪の毛と同様の抜け毛で、毛根がふっくらして白くなっていれば、正常な抜け毛です。
注意が必要な抜け毛
抜け毛の髪質や毛根を確認した時に細く弱々しい髪質の物が多い、毛根がなかったり千切れたようになっている、べたつきがあるなどの場合は要注意です。
ヘアサイクルの乱れや頭皮環境の悪化、ホルモンバランスの異常や自己免疫機能の低下などで抜け毛がひどくなっている可能性があります。
1日に150~200本以上もの抜け毛が1ヶ月以上続くような場合は、疾患の疑いがあるので医療機関を受診しましょう。
女性のひどい抜け毛の原因は?
女性の抜け毛がひどい場合には、どのような原因があると考えられるでしょうか?
抜け毛の仕組みでも解説したように、本来であれば1度のヘアサイクルは最長で6年ほどありますが、さまざまな原因で4年より短くなってしまう場合があります。
また、1つではなく複数の原因が重なってひどい抜け毛になっている場合もあるため、以下でご紹介する原因にいくつ当てはまっているかを確認してください。
頭皮環境の悪化
髪の毛は、適切な環境の頭皮であれば太く艶やかに育ちます。しかし、荒れて乾燥した頭皮では、髪の毛の成長に悪影響を及ぼしてしまいます。
頭皮の乾燥や皮脂のべたつきが気になる、1日に1回以上シャンプーをする、空調設備の効いた室内や屋外に長時間滞在している方は、頭皮環境が悪化している可能性が高いです。
寝る前にシャンプーをしない、パーマやカラーの頻度が高いという方も、汚れや薬剤の刺激によって毛穴の詰まりや頭皮の炎症を起こしがちなので注意してください。
ストレス過多
学校や仕事に家事育児、これらにまつわる家族を含む人間関係や環境の変化で、ストレスを感じている女性は少なくありません。
日々蓄積されるストレスで自律神経が乱れると、心身を活発にする交感神経が優位になり、血管が収縮して血流が滞り髪の毛を成長させる栄養が届かず、抜け毛が増えます。
ストレスによって女性ホルモンの分泌量が低下すれば、健康な髪の毛を維持できません。またストレスで増える活性酸素は髪の毛の元となる毛母細胞を攻撃したり、体を老化させ抜け毛を増やしてしまうのです。
血流の悪化
髪の毛が成長するためには、血液によって栄養や酸素を取り込む必要があります。頭部は頭頂部を囲むようにある4つの筋肉と、頭頂部周辺の帽状腱膜に覆われています。
帽状腱膜が加齢や重力などで伸びて薄くなると、血流が悪化して毛母細胞へ栄養や酸素が届かなくなるため、ヘアサイクルが乱れて抜け毛が増えてしまうのです。
毎日のように髪の毛をきつく縛るヘアスタイルをしている方、日頃から運動不足だと感じている方は、頭部だけでなく全身の血流が悪化して抜け毛が増えている可能性があります。
睡眠不足
厚生労働省の調査(令和元年国民健康・栄養調査報告)によると、仕事や家事、育児など1日の中でやらなくてはいけないことが多い全年齢層の女性は、男性よりも睡眠の質への不満が高いと分かりました。
睡眠中は、細胞の代謝やダメージの修復、骨や筋肉の成長に深い関わりがある成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは毛母細胞を活性化させ、頭皮のダメージを修復する大切なホルモンです。
睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が低下し、自律神経やホルモンバランスの乱れに繋がり抜け毛の原因になります。
環境によるダメージ
紫外線やパーマ・ヘアカラーの薬剤、排気ガスやPM2.5などを含んだ空気など、環境ダメージによってもひどい抜け毛を引き起こします。
春先の強くなる紫外線や冬の乾燥、夏は強い紫外線や海水の塩、プールの塩素なども注意が必要です。
紫外線は頭皮の炎症(日焼け)や活性酸素の増加、血流悪化など髪の毛の成長に悪影響を与え、抜け毛が増える原因になります。
食生活の乱れ
毎日の食事がワンパターンになっている、ファストフードやコンビニをよく利用する、子供や夫のメニューには気を使うものの、自分の食事は簡単なものにしている女性も多いでしょう。
年齢に関係なく過度なダイエットをしている場合にも同じことが言えるのですが、これらの方は栄養不足でひどい抜け毛になっている可能性が高いです。
髪の毛はタンパク質やビタミン、ミネラルに食物繊維などさまざまな栄養が元になって育つため、食生活が乱れると抜け毛が増えてしまいます。
ホルモンバランスの変化
女性は一生の中で大きくホルモンバランスが乱れる時期があります。月経や妊娠出産、加齢などでエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が大きく変化します。
妊娠時には女性ホルモンの量が高まり、出産すると妊娠前以下にまで急激に下がるため、ヘアサイクルが乱れて出産後脱毛症を起こす方もいますが、ほとんどは1年程度で元の毛量に戻ります。
しかし、出産後や加齢、ストレスや生活習慣の乱れなどでホルモンの分泌量が低下した状態が続くと、ひどい抜け毛だけでなく体調不良の原因にもなってしまうのです。
疾患
女性がひどい抜け毛になる原因には、甲状腺疾患や円形脱毛症、膠原病に鉄欠乏性貧血などの疾患、抗がん剤治療や抗うつ剤などの副作用などがあります。
また頭頂部からおでこの生え際にかけて、全体やクリスマスツリー型に毛量が減少する、M字部分が薄くなると女性型脱毛症(FPHL)を発症している可能性が高いです。
原因がわかるものは病院で治療できますが、皮膚科や内科などで原因がわからないことも多く、何科を受診すればよいのか不安な女性が増えています。
抜け毛は病院の何科で治療する?
ここまでは、さまざまな女性のひどい抜け毛の原因を解説いたしました。それぞれの原因に対して何科の病院を受診すればよいのか、治療を行えば治るのかと疑問に思う方もいるでしょう。
皮膚科や内科など病院で治療できる抜け毛の原因を解説しますので、一度思い当たる原因の治療ができる病院に相談してください。
原因によっては、病院ではなく髪の専門家に相談する方が早く治る場合もあります。
皮膚科
女性のひどい抜け毛を治療できるのは皮膚科です。皮膚科で治療できる抜け毛の原因を、以下にまとめました。
頭皮湿疹
脂漏性皮膚炎
円形脱毛症
FPHL
頭皮に何らかの異常が認められる場合は、まず皮膚科を受診しましょう。検査の結果、医師が皮膚科ではないと判断すれば、耳鼻咽喉科や内科などを受診するように勧めてくれます。
耳鼻咽喉科
続いて、女性のひどい抜け毛を治療できる病院としては、耳鼻咽喉科もあります。耳鼻咽喉科の受診が適切な抜け毛の原因は、甲状腺疾患です。
甲状腺疾患
甲状腺疾患には、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される機能亢進症と、反対に分泌量が低下する機能低下症があります。
抜け毛の他に首の腫れが気になる、また甲状腺機能亢進症では動悸や息切れ、微熱が続いたりイライラする、甲状腺機能低下症では汗が出ない、体のむくみや便秘、傾眠などの症状がある方は、耳鼻咽喉科を受診してみましょう。
内科
内科の受診をおすすめする、女性のひどい抜け毛には以下の原因があります。
膠原病
鉄欠乏性貧血
膠原病は、抜け毛以外に関節の痛みや原因不明の発熱、顔などに湿疹が出る、目やのどが乾燥するといった症状があらわれる、女性に多い疾患です。
鉄欠乏性貧血も女性に多い貧血で、月経過多や過度のダイエット、食生活による鉄分の不足で起こるため、食事療法と並行して鉄剤を処方してもらいましょう。
婦人科
婦人科と関係している女性のひどい抜け毛には、以下の原因が当てはまります。
産後脱毛症
更年期障害
性感染症
FPHL
産後の激やせ
妊娠中や出産後にひどい抜け毛になった、40代後半から50代の更年期、FPHLは女性ホルモンの分泌と深く関係しているため、婦人科を受診しましょう。
症状や疾患によって、点滴や注射、外用薬や薬物治療など治療の方法は異なります。
心療内科
ひどい抜け毛の原因が精神的なものや自律神経にかかわっている場合は、心療内科での治療になる場合があります。
ストレス
抜毛症
自立神経失調症
うつ病など
生まれつき自律神経のバランスが乱れやすい方もいますし、ストレスや性格によって乱れる場合もあります。
抜毛症は自分で髪の毛を抜いてしまう疾患で、癖やストレス、精神疾患が関係しているため心療内科の受診がおすすめです。
担当した医師が疾患に詳しくない場合は、その症状に詳しい専門医を紹介してもらうなど対策ができます。
病院でも原因がわからないなら髪の専門家へ
女性がひどい抜け毛に悩んで病院を受診しても、原因がわからない場合があります。
上記に挙げたような疾患が原因でないと、病院では原因を解明することが難しくなるためです。
そういった時は、髪や薄毛の専門家に相談してください。さまざまな原因による、薄毛やひどい抜け毛を改善してきた専門家であれば、あなたの悩みを解決できます。
女性のひどい抜け毛への対策
女性がひどい抜け毛で悩んでいる場合、どのような対策を行えば改善するのでしょうか。
もちろん、疾患が原因であればまず治療を優先する必要があります。ガンやうつの治療で服薬している薬の副作用の場合も、治療を終えるまではウィッグなどで対処しましょう。
病院を受診するほどでもないと考えている、ひどい抜け毛で悩んでいる女性は、以下5つの対策を行ってみてください。
食生活の見直し
普段摂取している食事の栄養バランスが偏っていると自覚している女性は、まず食生活を見直してみましょう。
髪の毛の主成分であるタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラル、食物繊維や乳酸菌など、あらゆる栄養素をバランスよく摂るようにすると改善するケースが多いです。
以下の記事では、髪の毛に良い食べ物や悪い食べ物、生活習慣などをまとめていますので、こちらもぜひ参考にして下さい。
女性はダイエットも気になってしまいがちですが、栄養不足になるようなダイエットでは抜け毛や精神疾患、貧血にホルモンバランスの乱れなど健康被害を引き起こしやすくなります。
規則正しい生活
女性ホルモンには、髪の毛を太く艶やかに長く成長させる働きがあります。そのため女性は男性と比較して薄毛の方が少ないのです。
しかし、睡眠不足や運動不足、加齢、ストレスなどによって女性ホルモンの分泌量が低下してしまうと、ヘアサイクルが乱れて髪質の変化や白髪、抜け毛の原因になります。
毎日決まった時間に起きて朝日を浴び、適度に運動をして血流を促進し、質の良い睡眠をとるという規則正しい生活を意識しましょう。
シャンプー・ヘアケア
抜け毛がひどいとシャンプーするのが怖くなる女性もいますが、頭皮を清潔な状態にするためにも1日1回、就寝前には必ず頭皮や髪の毛を洗いましょう。
ひどい抜け毛と共にフケやかゆみが気になる場合は、使用しているシャンプーの洗浄成分が強い可能性があるため、「ココイル」から始まる成分や「ベタイン」と記載されている成分が上位に記載されているシャンプーに変えましょう。
人工的な合成香料や着色料、エタノールは頭皮に刺激を与えるため、自然由来の優しいシャンプーもおすすめですが、オーガニック系でも強い洗浄成分が使われている場合があります。
シャンプーを買う際には成分表示をしっかりと確認し、頭皮や髪の毛に優しいものを選んでください。
また、シャンプーの使用回数を減らす湯シャンについては、以下の記事で詳しく解説しています。
頭皮マッサージ
抜け毛がひどい原因に頭皮が硬いというものがあります。そのため、頭皮マッサージを行い頭皮を柔らかくしたい!と考える方は少なくありません。
上皇天皇や現天皇の元御理髪掛(理髪師)をしていた、70代でも豊かな髪の毛をもつ大場隆吉さんは、頭皮ケアの第一人者でもあり頭皮マッサージの方法を開発されました。
ポイントは、桃に触れる程度の力で、頭皮をこすらず、下から頭頂部へまんべんなく動かすの3つです。
またツボの刺激も血流促進効果がありますが、強くやりすぎると頭皮を痛めてしまうので気をつけてください。
育毛剤
ひどい抜け毛で髪のボリュームが減ってくると、女性用の育毛剤を使ってみようと考える方もいるでしょう。
育毛剤には、今生えている髪の毛を太く強く成長させる働きを持つ、頭皮環境を整えるという2つの働きがあります。
成分に女性ホルモン類似物質を含むものや血流促進、保湿に栄養補給などを目的とするさまざまな商品が販売されています。
女性のひどい抜け毛の原因や対策、何科で治るかを解説まとめ
今回は女性の抜け毛がひどい原因がストレスなのか、対策方法や何科での治療がおすすめかを解説しました。
女性がひどい抜け毛に悩まされる原因は、ストレス以外にも頭皮環境や睡眠不足などさまざまあり、症状や疾患によって何科で治療すればよいかが変わります。
しかし、病院でも原因がわからないひどい抜け毛もあるため、そういった時は髪の毛や薄毛の専門家に相談すると、早期解決・改善も可能です。
抜け毛の悩みは家族や友人に相談しずらいものですが、悩んでいる期間が長くなるほど悪化するケースもあります。1日でも早く対策するためにも気軽にご相談ください。