鏡で自分の姿を見た際に、おでこが広くなった気がしたり、以前と比べてヘアセットがしにくくなったと感じ、「もしかして薄毛になってしまったかも?」と考えたことはありませんか?
薄毛は放置してしまうと、どんどん進行していき、取り返しがつかなくなる場合があるので、早めに対策する必要があります。
今回の記事では、薄毛に関する基本的な知識や育毛法・治療法などを解説していきます。
薄毛になりやすい人の特徴2選
薄毛になりやすい人には様々なタイプがありますが、原因で分類すると「先天性」と「後天性」の2種類が挙げられます。それぞれどのような特徴があるのかを紹介します。
薄毛のメカニズム
「先天性」と「後天性」の原因別の特徴を確認する前に、薄毛のメカニズムを知る必要があります。
テストステロン(男性ホルモン)は、生活習慣の乱れやストレス、加齢によりホルモンバランスが崩れてしまうと、5αリダクターゼという酵素と結合し、薄毛の原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)へと変化してしまいます。
このジヒドロテストステロンを男性ホルモン受容体のアンドロゲンレセプターが受信してしまうと、脱毛因子が増えて、髪の毛が抜けてしまい、薄毛が進行していきます。
したがって、5αリダクターゼが活性化すればするほど、また、ジヒドロテストステロンを受け取るアンドロゲンレセプターの感受性が高ければ高いほど、薄毛になりやすくなります。
薄毛になりやすい人の特徴①:「先天性」= 遺伝が原因で薄毛になりやすい人
先程説明した、5αリダクターゼの活性しやすさや、アンドロゲンレセプターの感受性の強さは遺伝により決まります。
身内に薄毛になっている人がいる場合、薄毛になりやすい体質を引き継いでいる可能性があります。特に、母方の祖父の影響を強く受けるとされています。
薄毛の遺伝にはX染色体が関係しており、X染色体は母方から引き継ぐということが理由として挙げられます。このことから、先天的な原因で薄毛になりやすい人の特徴は、母方の家系に薄毛の男性がいる人ということになります。
薄毛になりやすい人の特徴②:「後天性」= 生活習慣などが原因で薄毛になる人
遺伝による先天的な原因に対して、後天的な原因というのは生活習慣など、生まれてきてからの行動により薄毛の原因を作ってしまう場合です。
例えば、野菜をほとんど食べない偏食、過度なダイエットによる栄養不足などが、薄毛を招く要因として挙げられます。特に、揚げ物などの油っぽい食事、糖分の多い菓子をよく食べていると、頭皮の血流が滞り薄毛になりやすくなってしまいます。
他には、喫煙や睡眠不足なども、薄毛を引き起こす生活習慣と言えます。このようなことを踏まえると、普段の生活習慣が乱れている人は、後天的に薄毛になりやすい人だと考えられます。
髪の毛を早く伸ばす方法とは?
毛量が少なく、薄毛になってしまったのではないかと感じるとき、髪の毛を早く伸ばすことで改善することが出来る場合があります。その方法として、自身で手軽に始められるのが「生活習慣の改善」と「育毛剤・発毛剤の使用」の2点です。
生活習慣の改善
薄毛になっている人の生活習慣を見てみると、食生活や睡眠時間が乱れていることが少なくなくありません。肉や野菜などをバランスよく食べ、十分な栄養を得られるようにすると同時に、油分や糖分を摂りすぎないことを心掛ける必要があります。
また、ストレスは脱毛の原因であるジヒドロテストステロンの分泌を引き起こすため、ストレス解消も必要だと言えます。休養を取ることや、リラックス効果のある趣味を楽しむことが効果的です。
もし、仕事で過度なストレスを抱えているときには、転職でストレスから逃れるのも一つの手です。
育毛剤・発毛剤の使用
育毛剤や発毛剤を使用することも、髪の毛を早く伸ばせる方法の一つとして挙げられます。
育毛剤と発毛剤の違いがわからない人もいらっしゃると思いますが、簡潔に言うと、発毛剤は成分の中に髪の毛を作る工場となる毛母細胞を活性化させる効果のあるミノキシジルが配合されていることが特徴です。
一方で育毛剤は、頭皮の保湿や血行促進などを通じて髪の毛を健康にし環境を整えるためのもので、ある程度髪の毛が残っている状態で、太く抜けにくい状態にしたい、抜け毛予防などに使用するものになります。
いずれの場合でも効果の実感には時間を要する
生活習慣の改善や育毛剤・発毛剤の使用で、髪の毛を早く伸ばすというのは、魔法のように髪の毛が伸びるという意味ではありません。
何らかの要因で髪の毛の成長が阻害されている際に、その要因を取り除くことで正常なスピードで髪の毛が伸びるようにすると言うことです。
効果を実感できるまでにはある程度の時間を要することを理解した上で、自分にあった方法を試すのが良いです。
薄毛になる場所の違い
一言で薄毛といっても、人によって症状の現れる箇所は様々です。
前髪が薄い人もいれば、頭頂部が薄くなっている人もいます。前髪が薄い人は、いわゆるM字型と呼ばれるタイプの薄毛、頭頂部が薄くなっているのは、O字型と呼ばれる薄毛、前髪と頭頂部両方が薄くなっていくのは、U字型の薄毛とされます。
薄毛のタイプ別の特徴
①M字型の薄毛
AGAの初期症状として現れやすく、日本人に多いタイプ。M字型は前髪の両端から生え際が後退していきおでこが露わになるので、前髪を下ろして隠そうとする人も少なくない。
②O字型の薄毛
前髪と違い、鏡では確認できないので自覚しないことがあり、気付いた時にはかなり進行していたという場合も少なくない。
③U字型の薄毛
前髪と頭頂部が同時に薄くなっていくため、どこから見ても薄毛が目立つので隠すことは難しい。U字型の場合、前髪の生え際が後退するのはM字型のように両端からではなく全体が後退。何もせず放置すれば、薄毛の範囲が拡大してしまう為早期の治療が求められる。
前髪が薄い場合は牽引性脱毛症の可能性もある
前髪が薄い場合、AGAという可能性もあるが、牽引性脱毛症という可能性も考えられます。
牽引性脱毛症とは、髪の毛を強く引っ張ることで、頭皮に負担がかかり、血流が悪化し、髪の毛を作る細胞まで必要な栄養が届かなくなるため、髪の毛が細くなったり成長途中で抜けてしまったりする脱毛症です。
髪をゴム紐で強く結ぶ髪型を長期的にしていると、牽引性脱毛症になりやすくなってしまいます。
髪を強く結ぶ髪型をしている場合は、髪型を変えて生え際の血流を改善することでそれ以上の抜け毛をケアしていきます。
薄毛の人がかかえる悩み
深刻な病気が原因である場合はともかく、基本的には薄毛になったとしても、日常生活を送ることが難しくなったり、生命の危機を感じることはありません。しかし、薄毛に悩む人は世の中に少なくありません。
薄毛の方が思い悩むこと、それは外見の変化です。髪型や髪の色で、人の印象は大きく変わります。
髪の毛自体が少なくなると、恥ずかしさや後ろめたさを感じる方も非常に多く、薄毛となったことで他人からどう見られているのかが気になり、堂々と外を歩けない人もいらっしゃいます。
特に20代の薄毛は人生を左右する可能性がある
美意識が高くファッションや髪型を気にする人、これから結婚を考えている人などは、薄毛になったことで大きなショックを受けて深く悩むことになります。そのため、友人との付き合いや恋愛に消極的になることもあり、人生に大きな影響を与える可能性も否定できません。
そうした悩みを自分一人で抱えこむことで、精神的な病気になれば、ますます日常生活に支障が出る恐れがあります。
薄毛を治療することがお悩み解決への一歩
カツラ・ウィッグなどで少なくなった髪の毛を補うことも出来ますが、それを誰かに知られることはないかと新たな悩みを抱える場合も少なくありません。その事がストレスとなり、薄毛をより加速させる恐れもあります。
根本的な解決をしたいのであれば、薄毛を解消する治療を試すのが一番となります。治療の効果がでれば、ありのままの姿でも外を歩けるようになり、他人の目を気にする必要なくなります。そうなれば、ストレスを感じることもなくなり、髪の毛は健康で抜けにくい状態に近づくのです。
薄毛の治療方法を解説
薄毛を治療する方法として一般的なものは、投薬による治療です。薄毛を引き起こす主原因であるAGAの場合、内服薬と外用薬の2つが存在します。
内服薬の特徴
フィナステリド・デュタステリド
フィナステリド・デュタステリドは、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロンの生成を抑制する有効成分です。
男性ホルモンのテストステロンと還元酵素5αリダクターゼが結合することで生成されるジヒドロテストステロン(DHT)このジヒドロテストステロンの元となる5αリダクターゼの働きを阻害する働きがあります。
5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型があり、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の働きを阻害し、フィナステリドはⅡ型のみの働きを阻害します。
デュタステリドを配合した薬の方が治療の効果が出やすいですが、副作用も強くなることが難点です。
基本的には、Ⅱ型の5αリダクターゼのみを抑えるフィナステリドでも十分効果があるため、初めはフィナステリドから服用を始める場合が多いです。
性欲減退、ED(勃起不全)、肝機能障害など
ミノキシジル
ミノキシジルには血管を拡張させる働きがあります。毛根にある毛母細胞で細胞分裂した結果、伸びるものが髪の毛ですが、細胞分裂は、酸素や栄養を取り入れて行われており、酸素・栄養を運ぶ血液の流れが良ければ健康な髪の毛が順調に伸びるという理屈です。
血管を拡張させることで、髪の毛を作る工場の役割をしている毛母細胞に酸素や栄養をしっかりと送り込むことで、細胞分裂を促し、髪の毛を成長させることを目指すという訳です。
内服タイプのミノキシジルは副作用が他のものと比べて重いため、国から認可を受けていないものになります。そのため、クリニック等で処方される場合は同意書を書くことになります。
動悸、めまい、多毛症など
外用薬の特徴
外用薬は、頭皮に塗布することでAGAの治療を行う薬です。外用薬を分類すると、ローション・リキッドの液体タイプと、半固形の薬を頭皮に塗り拡げる軟膏タイプの2種類が挙げられます。
主に使われるのは液体タイプですが、生え際など液垂れしやすい箇所には軟膏タイプの方が最適となります。外用薬の成分は、ミノキシジルを使うことがほとんどです。
投薬以外の改善方法
頭皮マッサージ
投薬以外の治療法としては、頭皮環境を改善する治療法が挙げられます。例えば、マッサージを施したり光を照射したりすることで、血行の促進を行います。
マッサージはセルフでもできますが、やり方を間違えれば逆に頭皮にダメージを与える場合もありますので注意が必要です。マッサージの効果が出ているのかどうかは、見た目にはわかりにくいので、正しい知識を持っていない場合は、控えた方が良いです。
頭皮洗浄
頭皮環境を改善する方法としては、頭皮洗浄も効果的です。毛穴に皮脂やホコリが詰まり固まったものが角栓ですが、角栓が酸化すると、頭皮が炎症を引き起こすこともあります。炎症になれば髪の毛が抜けやすくなるので、薄毛を悩む人にとっては改善しておきたいところです。
頭皮洗浄で毛穴に詰まった汚れをかき出すことで、頭皮の環境を綺麗に保つことが出来ます。毛穴に詰まった汚れは蓋となり、育毛剤・発毛剤の有効成分を毛根に届ける上で邪魔となる存在です。毛穴に詰まった汚れをしっかりと落とし、頭皮を清潔にすることにより、育毛剤・発毛剤の効果が高まることも期待出来ます。
超音波・イオン導入
薄毛を改善する方法は頭皮洗浄以外にもあります。超音波やイオン導入などを頭皮に刺激を与える施術は、有効成分を頭皮の奥や毛根まで浸透しやすくすることで、発毛・育毛効果を高めることが出来ます。
メソセラピーによる治療
メソセラピーは比較的新しい薄毛の治療法で、頭皮に発毛・育毛効果のある薬や幹細胞成長因子を注入する治療法です。頭皮に注入することで有効成分が効きやすくなっており、内服薬・外用薬と併用することで相乗効果が期待出来ます。
相乗効果で育毛・発毛を短期間で実感できるようになり、治療のモチベーションを維持しやすいことも魅力とされていますが、注入をするときの痛みや料金の高さがデメリットと言えます。
薄毛は治療で治せるの?
薄毛を引き起こすAGAは、症状が進行するほど改善が難しくなります。
AGAはヘアサイクルが短い
通常髪の毛が生えてから抜けるまでのサイクルは数年程度ですが、AGAはわずか数ヶ月から1年という短いサイクルになってしまっている状態です。
短いサイクルで生えては抜けるという流れを繰り返すと、短期間で毛母細胞が細胞分裂できる限界に達してしまい、以降は髪の毛が生えなくなってしまいます。毛母細胞が寿命で死滅しまったところに、育毛や発毛をしたところで効果は期待出来ません。
植毛という手段も?【最終手段】
薄毛になってしまった部分を治したいというときの最終手段として、自毛植毛が挙げられます。自毛植毛とは、髪の毛が残っている部分から、毛根ごと移植するという治療法です。
自分の髪の毛なので、拒絶反応が起きる心配はそこまでありません。しかし、自毛植毛ができるのは、ある程度毛量が残っている人です。AGAが相当に進行している場合は、自毛植毛も難しくなってしまいます。
薄毛治療は早めが良い
薄毛に悩んでいる場合は、手遅れとなる前に治療を開始しておく方が良いことが自毛植毛のことからもわかると思います。
治療を開始する時期が早くなるほど効果は高くなり、現状維持しかできなくとも薄毛の悩みは軽くなります。
薄毛の治療は専門家に相談しよう
薄毛は、初期の段階であれば育毛法で頭皮環境を改善することで対処出来る場合もあります。
しかし、症状が進行していくと、専門家による治療が必要となるので放置してはいけないません。
薄毛で悩んでいる人は早期に専門家に相談することをおすすめします。
料金や治療内容をよく調べ、カウンセリングでの話を聞いた上で信頼できると判断したところで治療を行うようにしてください。